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薬害肝炎検討委、来年度も継続へ

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 厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」(座長=寺野彰・獨協医科大学長)は2月27日、委員の見解の不一致や検証作業が多岐にわたることなどから、4月以降も継続して委員会を開くことで合意した。これにより、当初は年度内に予定していた最終報告の取りまとめは、来年度にずれ込むことになった。検討委は年度内に、再発防止に向けた行政組織の在り方に関する基本方針を盛り込んだ“中間報告”をまとめる見通しだ。

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■この中身では「委員として恥ずかしい」―坂田委員

 検討委冒頭のあいさつを終えて退席しようとした舛添要一厚労相に対し、坂田和江委員(薬害肝炎全国原告団)が声を掛け、「わたしは被害者として、3月末で最終提言書を出すことに納得していない。このような中身では、委員として恥ずかしい」と発言。さらに、「再発防止に関しても、全く時間が足りないと思う。提言は何度出しても構わない。全員が納得した段階で、最終報告書としてほしい」と訴え、4月以降の検討委の継続を求めた。
 これに対して舛添厚労相は、「3月でこの課題が終わるわけではない。二度と起こしてはならないので、行政としても努力は続けていかなければいけないと思う」と応じ、議論を寺野座長に促した。
 舛添厚労相の退席後、水口真寿美委員(弁護士)が「ヒアリングも含め、まだ研究班にやってほしいこともある。それらの結果を受けた上で、最終の提言を出したいということは、この場の委員が共通で思っていると理解している」と発言。清水勝委員(西城病院理事)も「まずは、『この委員会は来年度も続ける。研究班も続ける』という基本姿勢を見せ、中間報告が必要ならば出すという態度を明確にした方がよいのではないか」と同調した。
 事務局側も「今年度と同額かは分からないが、来年度予算でも検証のための研究費を確保したい」と継続に前向きな姿勢を示し、他の委員からも反対意見がなかったことから、4月以降も議論を継続する方針で一致した。

■“中間報告”で再発防止システムの基本方針を

 花井十伍委員(「ネットワーク医療と人権」理事)は、年度内に取りまとめる“中間報告”に、医薬品の承認審査や安全対策などの業務を担う組織や制度についての基本方針を盛り込むよう要望。これに対して寺野座長は、昨年7月の「中間取りまとめ」で課題として残った再発防止に向けた組織案に触れ、「(年度内の)あと2回でやるのは、やはり組織の問題で一定の見解を出し、薬害の問題については、ヒアリングを含めて来年度に議論を行う」と答えた。

 組織案は2つ。承認審査、安全対策、副作用被害救済などの業務に関し、▽一括して厚労省医薬食品局(別の組織もあり得る)が行い、審議会が厚労相に答申する(A案)▽一括して独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」が行い、同機構が厚労相に答申する(B案)―で、いずれも「最終的に大臣が全責任を負う」としている。

 西埜章委員(明大法科大学院教授)はこれについて、「責任の所在から判断するべきだと思う。独立行政法人のPMDAにどのような権限を与え、どういう形で責任を取らせるかを考えると、少し危険性があると思う」と、大筋でA案に賛意を示し、高橋千代美委員(日本製薬団体連合会安全性委員会委員長)は、「今、厚労省とPMDAという2か所で(医薬品関連の業務を)やっている。A案、B案というよりも、一つで業務のできる組織をつくるべきだ」と述べた。
 また、間宮清委員(財団法人「いしずえ」事務局長)は、「PMDAには企業からのお金が入っている。これが膨らむとすると、どちらを向いて仕事をするかという点で、大きな不安が残る」と指摘し、A案を擁護した。

 一方、水口委員は監視組織の重要性に触れた上で、「どの組織を選ぶかよりも、そこで何が必要かを考えるべきだ」と強調。その要件として、▽中立・独立性▽短期間で異動しないような職場環境▽優秀な人材の確保▽責任の所在―の4点を挙げた。

 次回会合は3月18日に開かれる予定で、引き続き年度内の“中間報告”の取りまとめに向けた議論を行う。


更新:2009/02/27 22:58   キャリアブレイン

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