東京都文京区の私立郁文館中学・高校で、英語教員3人が02年まで十数回、同校を会場にして行われた「実用英語技能検定」(英検)の問題を事前に見て、試験前に解答を生徒に指南していたことが分かった。3人の一人だった堀切一徳校長はこの件で26日付で辞任し、外食チェーン「ワタミ」社長で同校を経営する学校法人「郁文館夢学園」の渡辺美樹理事長が27日付で新校長に就任した。
同校によると、堀切前校長らは試験2日前に届いた問題を事前に見て、解答の単語などを含めたプリントを作って、試験前に受験する生徒に覚えさせていたという。会場になった95年ごろ以降、十数回行われたとみられるが、04年からは会場になっていない。
英検を運営する「日本英語検定協会」(東京都新宿区)によると、実施要領では、事前に学校に届けられた問題や解答用紙は、教員が数だけをチェックした後は封印して当日まで厳重に保管することになっている。英検2~5級は受験する生徒が10人以上いる場合は学校を試験会場にできるようになっている。
堀切前校長は「英検に合格することで生徒に達成感を得させたかった」と話しているという。堀切前校長らは協会から支払われる運営費も、学校の会計に入れるという校内規定に反して、担当教員で分配していた。
同校は今後、堀切前校長の処分を決める方針で、27日に全校生徒に説明し、28日には保護者説明会を開く。渡辺校長は「私が理事長になった03年3月以降は不正は一切ないが、不名誉なことだと思っている」と話している。【三木陽介】
毎日新聞 2009年2月27日 19時41分(最終更新 2月27日 20時13分)