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本項では、朝日の記事の嘘を指摘する。 |
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ともあれ、太陽光発電推進派の嘘を指摘することにしよう。
まずは朝日の記事で、真実の部分を示してから、話を進める。
(1) 業者のトラブル
太陽光発電の業者には、いい加減な業者が多いそうだ。業者が不慣れなせいか、配線ミスなどをする。そのせいで、発電量が激減することがあるという。トラブル続出で大損した、というユーザーの被害の例がけっこうあるという。(朝日・朝刊 2009-02-11 )これは、事実の報道だ。しかも、マイナス点を具体的に指摘している。ここまではいい。
問題は、そのあとだ。記事は結論として、
「信頼できる業者を探しましょう」
と述べている。だが、甘すぎる。むしろ、「悪徳業者が多い」とはっきり書くべきだろう。いつもは、「太陽光発電はすばらしい」とさんざん持ち上げているのだから。
とにかく、やたらと無責任に推奨するべからず。
(2) 償却期間
記事では、償却期間の試算も示されている。(朝日・朝刊 2009-02-10 )この試算は、特にインチキということはない。太陽電池の価格だけでなく、メンテ費用も含めている。機械の交換や、掃除についても、いろいろと書いてある。若干、議論の余地があるところもあるが、試算の基準の違いという程度であり、特に問題ない。
この情報は、正しい情報だ。つまり、
「自費では償却できそうにない( or トラブルなしなら 25年以上かかるが)が、多額の補助金をもらえば 15年ぐらいで償却できる」
ということは、まさしく成立するだろう。この部分は、正しい。
( 【 注 】 補助金なしで全額自費の場合はどうか? パネルだけなら 20年ぐらいで償却できる。メンテ費用が別にかかるので、実際には 25年ぐらいかかる。しかし 25年もたつと、効率低下や寿命が来てしまうので、いろいろと問題がある。その間にトラブルが起こると、さらに費用がかかりそうだ。また、最後は撤去費用も、別途多額にかかる。……自費では償却できないかもしれない。電力料金が大幅に上がれば償却できるだろうが、逆に、原発が普及して電力料金が下がれば、償却は永遠に不可能となる。……このあたりは、何とも言えない。)
(3) 節電の効果
その他、節電の効果がある。ここがおかしい。まず、記事では、次のように述べている。
「節電するほど償却期間が短縮する」
たとえば、年 15万円の発電効果があったとしよう。その分は、太陽光発電の効果だ。これは問題ない。
その一方、節電によって、家庭の電力使用を減らすと、年に 10万円ぐらいの節電効果が出る。その分を売電すると、10万円の利益が出る。(節電の利益。)
で、年 15万円の発電と、年 10万円の節電を合計して、年 25万円。これなら、総額 250万円の太陽光発電を、たったの 10年で償却できる……という計算。
結論は、次の趣旨。
「節電すれば太陽光発電の焼却は短期間で済むので、十分に元は取れます。太陽光発電でエコ、節電でエコ。エコによって得をします。だから、太陽光発電を使いましょう」
しかし、これは、論理のペテンである。こういうペテンはやめてもらいたいものだ。
太陽光発電の効果と、節電の効果は、別のことである。
そもそも、太陽光発電をしてもしなくても、節電はどっちみち可能である。
同じ理屈を用いるのなら、逆に、次のことも成立してしまうはずだ。
「太陽光発電をしない家庭で、節電をすると、年に 10万円の節電効果が出ます。その分、エコです。太陽光発電をしないと、すばらしいエコができます。だからエコのために、太陽光発電をやめましょう!」
もちろん、こんな理屈は成立しない。これは逆方向のペテンだ。
では、正しくは? こうだ。
「太陽光発電の効果と、節電の効果は、別のことである」
なのに、別のことをひっくるめて「太陽光発電の効果」に付け替える、……という「数字のインチキ」を、朝日の記事はやっている。
比喩的に言えば、あなたがせっせと努力して挙げた成果としての数値を、太陽電池派が横取りするということだ。泥棒の一種。(成果泥棒。)
太陽光発電の推進派なんて、詐欺師と泥棒ばかりなのだ。彼らは、損をさせてばかりいるのに、その損を得に見せかけようとする。そのために、他人の努力の成果を、盗み取る。その一例が、
「節電の効果を、太陽光発電の効果に、付け替える」
というインチキだ。
太陽光発電の推進派は、ペテン師だ! (その代表が朝日。)
( ※ ここでは、朝日の記事にある「論理のインチキ」を指摘した。それが本項の趣旨。何らかの情報を示すというよりは、「新聞の嘘にだまされないようにしましょう」という趣旨。)
[ 付記1 ]
実際、被害をこうむった読者の例がある。前にも述べたが、再掲しよう。
朝日などは「太陽光発電を推進せよ」と述べている。だが、それを信じた読者が太陽光発電を購入して、ひどい目にあったそうだ。
朝日や業者の口車に乗せられて、「お得ですよ」という言葉を信じたが、実際には大損。想定外のコストがやたらとのしかかる。少しでも損失を免れるために、生活リズムが全然狂ってしまった。毎朝、早朝や深夜に家事をするハメになる。60歳の高齢なので、すごくつらい。太陽光のせいで、人生明るくなるどころか、人生真っ暗になってしまった。……という体験談。
これは、朝日に掲載された。(朝日・朝刊・声欄 2009-01-25 )
( → 前出項目 )
太陽は地上を明るくする。しかし太陽光発電は、だまされて買った人々の人生を真っ暗にする。
[ 付記2 ]
朝日が本当に太陽光発電を推進するのであれば、まずは自社の記者がそれを購入して、体験記を書けばいいだろう。自分では買わずに、人に「買え、買え」とばかり勧めるのは、道義的におかしい。悪徳商人の手口だ。……いったい、被害者をどれほど出せば、気が済むことやら。
ついでだが、世の中の「太陽光発電推進派」の連中も、同罪だ。彼らは、本当に太陽光発電を推進するのであれば、自分がさっさとその被害者になるべきだ。自分では被害者になるのを嫌がって、他人を被害者にしたがるなんて、倫理的に悪質すぎる。
( ※ 特にひどいのは、アフィリエイトで儲けようとしているブロガーだ。「太陽光発電はすばらしいですよ」と唱えて、太陽光発電の関係書籍を売りつけて、自分はせっせと小金を儲けようとする。)
【 関連情報 】
(1) シャープのサイト
「2010年に太陽電池の発電コストを現在の半分、1kWh当たり23円に下げるめどがたった」
(2) 他の発電コスト
1kWh当たり 7円〜 12円。(石油、石炭、原子力など)
※ つまり、(1) にしたがって現在の半分になっても、(2) によればまだ他の発電の2倍以上である。
(3) グリッドパリティはいつか
いつ太陽光発電がグリッドパリティを達成するのであろうか。アメリカエネルギー省は2015 年、今から8 年後とみている。その理由は米国エネルギー省がこれぞと思う有望企業に多額の資金援助を行い2015年後までにグリッドパリティーを達成できる革新的な製品開発を強力に推進中であり、その実現可能性を担保できそうな有望企業をいくつか育成しつつあるためであろう。[ 2007年8月]※ ただし、この手の楽観的な予想が外れるのは、毎度のことだ。というのは、同じような話を8年前にもしていたからだ。8年前の予想が当たっていれば、今ごろは太陽電池の価格は半減以下にまで下がっているはずだったが。
※ グリッドパリティ = その発電コストが系統(グリッド)電力と価格的に競争できること。太陽光発電が家庭電力と同じ価格になること。
【 関連項目 】
→ サイト内検索「太陽光発電 嘘」