【Ｒｅ：社会部】路上から見えたこと

　「最近、駅や電車内で雑誌を集めるおじさんたちを見なくなったね」

　知人がふと口にした言葉がきっかけでした。鉄道会社がホームレスの立ち入りを規制したのかと思い、取材してみましたが、そうではなく、出版不況で雑誌の販売量が減ったことが原因のようです。

　生活の糧の缶拾いも世界的不況を受けてアルミ缶価格の暴落に直面。社会とかけ離れて生きているようで、実は最も不況の影響を受けているのはホームレスだという現実が浮かび上がっています。

　それでも食費を切り詰めるために１００円ショップに通ったり、少しでも高く売ろうと、集めた古本や廃棄品のＣＤを大手の古本・中古ＣＤチェーンに持ち込んだりと、生き抜くために新たな手だてを模索する姿もありました。

　一方で、ホームレス支援団体によると、公園の炊き出しでは、雇い止めにあった非正規労働者か、若者の姿を目にするようになったといいます。「でも炊き出しに並ぶ若者はましな方」とホームレス問題に詳しい専門家は言います。

　「恥ずかしいと炊き出しに並べず、ネットカフェでしのいだ揚げ句、東京・秋葉原で１７人を殺傷した元期間工の若者のように極端な犯罪に走らないか心配」とも。

　不景気だからこそ、路上で生きる人々の生活ぶりに触れることで、見えくることも多いように感じます。（桜）