先日、北九州市に講演に行った帰り。一旦、小倉から福岡に戻り、そこから飛行機で東京に帰るつもりで新幹線に乗ったのだけど。
自由席の切符で乗っていたら、たまたま車掌さんが来て、「ここは指定席だから、自由席に移ってください」とのこと。
「でも、わずか十数分のあいだだから、それくらい見逃してくれてもいいじゃないか」といったけど、「駄目だ」とのこと。
「それじゃあ」と立上ったら、隣りはグリーン席。そちらのほうがはるかに楽、と思って乗っていたら、先程の車掌がまた来て、「ここはグリーン車」ですと。
そんなことはわかっているけど、
いまさら自由席に行くのは面倒くさい。
それに広い車輌に乗っているのは二人だけで、あとはガラ空き。
「もう直ぐ着くから、ここにいても、いいじゃないか」といっても、「駄目だ」の一点張り。
そこで、「君きみ、これくらいは大目に見るものだよ、本当に融通がきかないね」と説教して立上り、デッキに出たら、途端に福岡に到着。
この車掌さん、職務に忠実といったらそのとおりだが、過ぎたるはおよばざるがごとし。もう少し時と場所を考えて、自在にやって欲しいものですね。
JR西日本さん。
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。