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薄型テレビの価格急落 在庫過剰「5万円切るとは…」
「32型の液晶テレビが5万円を切るとは…。ここまできたかという感じだ」
家電メーカー幹部は、流通大手イオンが破格の4万9800円で売り出した韓国メーカー製のDVD付き液晶テレビに、ため息を漏らした。今月中旬に台数限定で発売され、直後に完売した。
薄型テレビの“価格破壊”が止まらない。市場調査会社BCNによると、1月の液晶テレビの平均販売価格は前年同期比13%下落し、9万7700円(税抜き)となり、初めて10万円の大台を割り込んだ。昨年12月の下落率は2・8%だったが、年が明けて一気に値崩れが進んだ。
原因は、世界同時不況による販売不振で在庫が積み上がったためだ。各社はそれまで年30〜50%増の成長を見込み、設備を増強し生産を続けてきたが、供給過剰で在庫が膨れ、投げ売りが始まった。
イオンの格安テレビも、「市場にあふれた主要部品のパネルを安値で調達し、組み立てたもの」(業界関係者)とみられる。ソニーなどは「3月末に向けて在庫の適正化に努める」としており、在庫処理による価格下落が続く見通しだ。
販売不振と単価下落による採算悪化が、各社の収益を直撃。テレビ事業の赤字が主因となり、21年3月期の営業損益は軒並み多額の赤字に転落する。薄型テレビ市場はプレーヤー過剰の状態にあり、すでにパイオニアが撤退に追い込まれたが、さらなる再編・淘汰(とうた)は必至だ。