不登校や引きこもりの人の心の安定に畑仕事を取り入れている栗原市高清水の「まきばフリースクール」(武田和浩代表)は、欲しい野菜の注文を受け無農薬・無化学肥料で露地栽培し宅送する「まきばたけ注文野菜の定期便」を発案し、個人注文者を募集している。10代から50代まで栽培担当のスクール生6人が堆肥(たいひ)作りなど向こう1年間の準備作業にいそしんでいる。【小原博人】
スクールが作成した26種類の野菜カタログを希望者に送り、好きな野菜や数量を指定してもらい、栽培・宅送する。発送時期は夏野菜が7~8月ごろ、冬野菜が11~12月ごろ。通年にわたり数回分の注文が原則だが、1回の注文は2000円(送料別)からと値ごろだ。
スクール生と注文者との「心の通い合い」の構築を考え、初年の注文者は7~8人に絞る方向だ。野菜の成長や作業の様子も随時、写真を送って伝えることにしている。種まき作業との兼ね合いで、3月半ばまでの申し込みを望んでいる。
「まきばたけ」は「まきばのはたけ」の略称。26種類の野菜は夏~秋がトマト、ナス、トウモロコシ、ピーマンなど。秋~冬はカボチャ、ナガイモ、白菜、小松菜など。
同スクールの畑作農業は今春で4年目。畑仕事を通じ、癒やしと充実感のようなものをつかんでもらおうと、支援者から畑を借り、「やるからには安心安全な作物を」と無農薬栽培を手がけた。
生産物は同市内の道の駅などで直売していたが、今春から一歩進め、注文に応じた畑作への挑戦を決めた。現在、畑は20アール余だが、注文野菜の伸び具合で広げる予定もある。
畑作にかかわる同スクールスタッフで精神保健福祉士の中山崇志さん(28)は「自前の堆肥を使い、畑の雑草や虫は人海戦術で手取り。安心・安全の理念は、そういう居場所を求めるスクール生たちの望みでもあるのです」と話す。連絡は同スクール(電話0228・58・4755)。
毎日新聞 2009年2月27日 地方版