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反貧困でつながる(7)安心の住まい求め共闘

2008年12月28日17時15分

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写真藤本龍介さん

 「更新に合わせ、賃貸借契約の内容を改めたい」。東京・中野のワンルームマンションで暮らしていた藤本龍介さん(30)に、不動産管理会社から書類が届いた。3年前の冬のことだ。「念書」と書かれた紙には「家賃を滞納した時は10%を加算して支払う」など厳しい条件が並んでいた。署名を拒むと、管理会社は「じゃあ6万8千円の家賃を8万5千円に値上げします」。

 派遣で働き、貯金は10万円ほど。引っ越し代がない。やむを得ず元の賃料だけを払って住み続けていると、昨年末に家賃の増額や更新料の支払いを求める訴えを起こされた。

 「やられっ放しはイヤだ」。同じ管理会社や関連会社が管理するマンションやアパートを見つけて現地を訪ね、「つながって共に大きな抗議の声を作りましょう」と書いたビラを各戸のポストに入れて回った。

 反響が寄せられ始めたのは、今年3月に入ってからだ。新宿の喫茶店で会った男性は「家賃の支払いが遅れると、カギを交換されて部屋に入れなくなりまして……」。無断で室内の荷物を運び出された人や、「生存確認出張料」と称して1万円ほどを請求された人もいた。敷金・礼金ゼロをうたう不動産会社で、被害者の一部は10月、同社を相手取って損害賠償を求める訴えを起こした。

 「派遣切り」で家を失う人が増えている。年齢や国籍、障害を理由に家を貸してもらえない人も多い。藤本さんは、10月の反貧困大集会で、こうした実態を訴えた。年明けには新たな集会を計画中だ。「安心して暮らせる住まいは生活の基盤。国や自治体は、『ハウジングプア』(住まいの貧困)の解消にもっと力を注ぐべきだ」(林恒樹)

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