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2009年2月27日

 金大の国語の入試問題に、落語家の円生と志ん生が取り上げられていた。日本人なら2人の落語の違いは分かるし、好みも分かれる。が、日本語の分からぬ人にとってはどうか、と

端正な芸風の円生と、自由気ままな志ん生。酒好きの志ん生には、高座で酔いが回り、そのまま寝込んだ、という逸話もある。弟子が起こそうとすると、観客から「寝かせておいてやれ」。居眠り姿だけで、ファンを満足させた名人である

「拍手はくせもの」と言った落語家がいた。一席終えると拍手がくる。熱演なら盛大に、つまらぬ高座ならパラパラと。が、芸の世界は、それだけではない。下手なはなしでも、時に大きな拍手がくる。「やっと終わったか。早く引っ込め」。目の肥えた客は、トゲのある振る舞いもする

きょう新年度予算案が衆院を通過する。年度末ぎりぎりに自然成立する見通しである。早期成立が大事、と言いながら、怪しい足取りでやっとここまで来た

下手な落語も、退屈なスピーチも、時に盛大な拍手を呼ぶ。頼りない政治が1つの節目を迎えた日、客席からは似たような拍手も聞こえてくる。


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