日本教育再生機構役員懇談会を開催

 2月18日(水)夕刻より、日本教育再生機構の役員懇談会を開催しました。会場のアルカディア市ヶ谷には、日本再生機構役員、国会議員ら約50数名が参加し、再生機構の今後の方針や活動内容について活発な議論が交わされました。

 冒頭、来賓の中山成彬元文科相、次に再生機構顧問の屋山太郎氏(政治評論家)が挨拶に立ち、続いて八木秀次理事長から昨年度の再生機構の事業報告、山谷えり子参院議員(元首相補佐官・教育再生担当)からは教育再生政策の「現状と課題」について報告がありました。

 続いて、石井昌浩副理事長が「道徳教科書作成の国民運動の進め方について」と題して、『パイロット版道徳教科書』作成に向けた理念や方法について報告、八木理事長は「今後の教育再生運動の政策提言と主要テーマ」について報告し、衛藤晟一参院議員と義家弘介参院議員からコメントがありました。

 全体討論でも、役員の平岡龍人氏((学)清風明育社理事長)、小原芳明氏(玉川学園理事長・学長学園長)、顧問の中條高徳氏(アサヒビール(株)名誉顧問)、村上和雄氏(筑波大学名誉教授)、丸山敏秋氏((社)倫理研究所理事長)をはじめ、多くの提案や意見が出されました。
 当日の模様を報告します。


中山成彬氏(元文科相・衆議院議員)

 「自民党では『日教組問題究明議員連盟』を立ち上げ、2月5日の東京での国民集会を皮切りに、全国を廻っている。参加者からは、『日本の教育を阻害しているのは日教組だ』『日教組出身者が党中枢にいる民主党に政権を握らせてはいけない』と、多くの感想をいただいた。
 この問題を一人でも多くの国民に分かってもらいたい。会社の方針に違う事は報道しないというマスコミの中で、我々は大変厳しい立場にある。日本教育再生機構の皆さんには今後も中心となって、教育改善を進めていただきたい。八木理事長を中心に一層のご活躍を祈念する」

屋山太郎氏(日本教育再生機構顧問・教科書改善の会代表世話人)

 「35年前、『文藝春秋』に『日教組解体論』を書いたが、状況は今も全く変わっていない。散発的に日教組批判を繰り返しても効果はない。今後の戦略として、例えば、地方の首長に理解してもらって学力テストの結果の公開を進めてもらう、教育委員会内の意識を変えていく、といった地道な活動が必要だ。
 併せて、我々、教科書改善の会は、教育委員会で採択してもらえるように、粛々と良い教科書を作っていきたい」

■昨年度の事業報告
  八木秀次氏(日本教育再生機構理事長)

 「日本教育再生機構が発足した平成18年と比べると、政治状況はかなり変わりつつあるが、平成20年度は皆様のご協力もあり、『道徳教育をすすめる有識者の会』の発足や、第3・4回教科書改善シンポジウムの開催、東京裁判判決60年シンポジウムの開催など、順調に事業が進んだ」

■教育再生懇談会の現状と課題
  山谷えり子氏(元首相補佐官《教育再生担当》)

 「日教組の組織率は約28%、共産党系の全教は約8%、合わせて全国で約36%の組織率と言われている。しかし、教育委員会に組合出身の委員が入ったり、教科書の執筆に関わったりと、日本の教育は、まるで白アリが家を蝕むように、左派に乗っ取られている。教育委員会は適切に機能せず、何より文科省自身が日教組らと裏で手を組み、ゆとり教育ならぬ『ゆるみ教育』を行い、全国学力調査、道徳教育を拒否し続けてきた。
 安倍首相時代に、官邸主導で教育基本法などを改正することができたが、道徳の教科化は中教審の反対により見送られた。ただ、道徳教材に対する国庫補助制度の創設のために、平成21年度の本予算で13億円を計上している。予算が通過し、道徳教育をすすめる有識者の会が作成する教材にも国庫補助が付くことを期待したい。

 また、平成19年度から、子供と地域をつなぐための『放課後子どもプラン』が、全公立小学校を対象に始まっているが、これについても左派に利用されてはならない。授業に先立って放課後から正常化していくために、例えばおじいちゃんが論語を教えるなど、保守派の皆様にもぜひご参加をお願いしたい。

 現在活動している日教組問題究明議員連盟では、最終的には、教職員の政治活動などを禁じるための法律の制定を目指します」

■今後の教育再生運動の進め方に関する提言
(1)道徳教科書作成の国民運動の進め方について
  石井昌浩氏(日本教育再生機構副理事長)

 「今の学校で行われている道徳教育の多くは、ビデオを生徒に見せて感想を述べさせるだけ、といった酷い状況だ。
 また副教材を使っていても、モラルジレンマ法という相反する価値観を提示して生徒に考えさせる授業に終始し、いわゆる価値相対主義に陥っている。基本的な価値観は教えられず、伝記・偉人伝は排除されている。道徳教科書づくりを通して日本人の価値観を具体的な形で示し、子供たちに教えていかなければ日本人の心を伝えることはできない。我々の道徳教科書づくりに是非ご協力をいただきたい」

(2)今後の教育再生運動の政策提言と主要テーマの設定について
 八木秀次氏(日本教育再生機構理事長)

「教育再生のための政策として、
1、教育基本法が改正され、新しい学習指導要領が改定されても、教材や現場レベルでは骨抜きにされている状況に対する指導・改善、
2、教員免許更新制において教員に法令遵守を徹底させる講習、道徳の適切な授業を行える講習の必修化、
3、教職員の政治活動の完全禁止に向けて、罰則規定を設けるための地方公務員法の改正、
4、不適切な道徳教材の追放、
5、村山談話問題、
などを提言したい。とくに、『3の教職員の政治活動禁止に向けた法改正』は最大の眼目になる。教育問題の核心は組合問題であることを再度強調したい」

■国会議員の先生方からのコメント

 参議院議員 衛藤晟一氏

 「先般、大分県の教育委員会の不祥事があったが、それ以前から、教育の改善を図るために教育委員を何度も入れ替えていた。しかし、かつて社会党出身者が知事になった余波で、今でも自治労、日教組、などの影響力が極めて強く、知事も妥協してしまい、一向に改善されない。明らかな違法行為でないと摘発しづらいのが現状だ。
 提言案については、ご指摘の通り、教育基本法などが改正されても教材や現場レベルで骨抜きにされている。今、小中学校教科書検定基準案と高校学習指導要領改訂案について、改正教育基本法の趣旨が適切に反映されるように、各項目の内容を詰めている。小中学校の指導要領についても、その趣旨が全ての先生に浸透するように取り組んでいく。

 また、パイロット版道徳教科書の作成は非常に意味がある。我々が薦めたいテキストがちゃんとあるということは大事だ。良い教材の一つとして子供たちが使えるようにしていくことによって、必ず変わってくる」

参議院議員 義家弘介氏

 「道徳の教科化は教育再生の本丸だ。道徳なき性教育は子供たちにセックスの方法を教えているだけであり、道徳なき情報教育は子供たちに有害サイトへのアクセスの仕方を教えているにすぎない。
 民主党が政権を取れば、日教組出身の議員が文科大臣になる。今こそ、思い切った提案が必要だ。提言案で挙げられている『地方公務員法の改正』は、与党が衆議院で2/3で再可決できる今しかできない。細かな罰則規定を設ける手もあるが、例えば、違法行為を行った場合には、人事委員会に定める(登録される)組合としては認めない、という条文を入れる手もある。法律改正案を具体的に出していけば、間違いなく日教組の教職員たちは国会の周りを取り囲み、大騒ぎをするだろう。しかし、それこそが、国民の皆さんが次の選挙で教育再生の道のりををどちらに委ねるのかを選択する際に、大きな判断材料になる。自民党は責任ある党として、そのような争点を、批判を恐れずにはっきりと提案していかなければならない」


■全体討論

山本豊氏(全国教育問題協議会常務理事)
 「三年前、民主党の輿石氏の政治資金規正法違反を告発したが、罰金刑にしかできなかった。ぜひ自民党には、提言案にある、教職員の政治活動の完全禁止に向けた地方公務員法の改正に取り組んでほしい」

森敬恵氏(ソプラノ歌手)
 「国民の多くは、日教組や教育現場の問題について知らない。日本を守ろう、という全国のPTAや教職員の集まり、青年会議所などと情報を共有し、連携して活動していくべきだ」

鄭大均氏(首都大学東京教授)
 「韓国でも、最近では李栄薫氏(ソウル大学教授)ら保守派により、日本統治時代を肯定的に評価し、そのような歴史観の教科書を作る動きがある。日本を加害者国家に仕立て上げたい人々は、韓国の進歩派と連携しているが、日本の保守派も韓国の保守派と何らかの形で交流してはどうか」

小林隆氏(伝承文化研究所代表)
 「世田谷区に続き、杉並区でも4月から日本語の授業を行う。カリキュラムと教科書を作成し、区立幼稚園、小学校、中学校でモデル授業を始める。日本語の授業には、歴史上の人物や美しい言葉が含まれるので、教育再生に効果的だ」

木村治美氏(共立女子大学名誉教授)
 「若者はミクシイや2ちゃんねるなどのウェブサイト上で意外と保守的な論争をしている。新聞は読まないが保守的なネット世代も巻き込む運動をしていただきたい」

小原芳明氏(玉川学園理事長・学長・学園長)
 「本学の教育博物館では1万5千点の台湾総督府と朝鮮総督府時代の教科書を所有している。しかし、それらを研究しに来るグループは、植民地時代の日本の悪事の証拠資料として使用している。教育政策に関心のある方には、情報を提供するのできちんと研究してほしい。日本がいかに現地の教育を大切にしていたのかがよく分かる」

横山安宏氏(全国連合小学校長会顧問)
 「中教審は道徳の教科化について、専門的見地から見て従来通り教科化しないという判断をした。しかし、規範意識の欠けた今の子供たちを見ると、中教審の専門的判断というものは疑問だ。中教審の委員の人選には十分注意する必要がある」

平岡龍人氏(学校法人清風明育社理事長)
 「道徳教育を広める方法として、全国で道徳的に素晴らしい生徒や教師、先生、教育委員などを日本教育再生機構で表彰してはどうか」


■日本教育再生機構顧問より

伊藤隆氏(東京大学名誉教授)
 「現在、良い歴史教科書を鋭意制作しています。さらにご協力をいただきたい」

小田村四郎氏(元拓殖大学総長)
 「マスコミは日教組の問題をほとんど取り上げないため、国民はその実態を知らない。だから日教組を支持基盤に持つ民主党を、国民は支持してしまう。日教組の問題を国民に知らしめなければならない」

中條高徳氏(アサヒビール(株)名誉顧問)
 「これからの時代、日本青年会議所や倫理法人会など若い人々に期待している。また、安倍元首相に次ぐ新しい政治リーダーの育成が必要だ」

村上和雄氏(筑波大学名誉教授)
 「生命科学分野の研究で感じてきた、いのちの素晴らしさ、人智を超える大自然の力などを(道徳)教科書に反映していきたい。また、私も若い人に期待したい。一昨年ダライ・ラマ14世ら3人のノーベル平和賞受賞者を広島に呼んだとき、県や市や経済団体が開催を躊躇する中で、青年会議所が会を成功させた。若い人はまだ捨てたもんじゃない」

丸山敏秋氏(倫理研究所理事長)
 「今の政治・経済の混迷の中、教育は最大の安全保障だ。今の経済の問題でも自由が問題になっている。教育には自由と規律が必要だ。規律面での道徳教育をしっかりやっていきたい」

屋山太郎氏(政治評論家)
 「自民党が文科省を握っていれば問題がない、というわけではない。今の文科大臣は学力テスト結果の公表に否定的だ。自民党は政権さえ取っていれば良いという考え方になっているが、政権交代があった方が、逆に党のイデオロギーや憲法改正の是非、公務員改革などの政策が争点として前面に出る議論になるから良いのではないか」

義家弘介氏
 「民主党が政権を握ったら、日教組出身の輿石氏が副総理になり、他の日教組出身議員が文科大臣になるだろう。今まで積み上げてきた教育再生の流れは全て崩れる。犠牲になるのは子供たちだ。自民党にも反省しなければならない点はあるが、こと教育に関しては日教組に引きずられる民主党には絶対に任せられない」
■閉会にあたって
石井公一郎氏(日本教育再生機構顧問・元ブリヂストンサイクル社長)

 「学力テスト結果の公表、美しい日本語の再興、韓国の保守派との連携、日教組問題究明議連への国民の支援など、本日は皆さんから貴重なご意見をいただき、会も活気づいた。本日の意見を元に戦略を立て、戦術を練って我々の行動を実効在らしめんとすることが肝要である」