プレスリリース
2009.2.27

社団法人日本音楽著作権協会
(JASRAC)

公正取引委員会に対する審判請求について

 当協会は、2月27日付けで公正取引委員会から受けた排除措置命令について、事実認定及び法令適用の両面において誤ったものと考えており、到底承服することができませんので、法令の手続に従って審判を請求する方針です。

 今回の命令は、当協会が放送事業者との間で包括契約(当協会の管理著作物の使用料を放送事業収入等に応じて包括的に徴収する内容の契約)を締結していることが、当該放送事業者が放送番組において利用した音楽著作物の総数に占める当協会の管理著作物の割合を使用料に反映させていないことになるから、私的独占(独占禁止法2条5項)に該当すると判断し、この徴収方法の変更等を求めています。

 当協会は、現在の当協会の管理著作物に関する放送等使用料の徴収方法が独占禁止法上の私的独占に当たるとは考えておりません。また、今回の命令に対応するためには、これまで放送事業者との間で取組を進めてきた放送曲目の全曲報告が必要になるものと考えられますが、現時点ではすべての放送事業者が全曲報告をするまでには至っておりません。

 昨年4月に立入検査を受けて以降、当協会は、公正取引委員会に対し、現行の放送使用料の徴収方法や将来的に考え得る変更内容、その実現のための課題、実現に要する時間等について詳細に説明してまいりました。しかしながら、このような状況に至ったことから、今後は、審判を請求して適正な事実認定と正しい法令の適用を求めつつ、あるべき方向性を見出していきたいと考えています。

 当協会といたしましては、委託者・利用者の皆様にご迷惑をお掛けしないことを第一義として本件に対処してまいる所存ですので、今後ともご理解、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。


◇ 今回の命令に関する当協会の見解の概要は、次のとおりです。

1. 当協会は反競争的な指示・要求などを一切していません。
 

 当協会は、放送事業者に対して他の管理事業者の管理著作物を利用しないよう要請するなどの行為を一切していません。公正取引委員会も、排除措置命令に先立つ事前説明の中で、当協会と放送事業者との間にそのような事実が見られなかったことを認めています。それにもかかわらず、本件について私的独占に該当するとの判断がされました。
 放送事業者は視聴者の嗜好に合わせて音楽著作物を利用するのであり、放送事業者が利用しないと判断したことの結果責任を当協会に負わせることには合理性がありません。


2. 今回の命令では、放送使用料の算定において具体的にどのような方法を採用すべきなのかが明確にされていません。
 

 放送事業者が当協会に支払う放送使用料は、著作権等管理事業法の定めを踏まえ、利用者代表(個々の放送事業者が加入する事業者団体等)と当協会との間の協議によって定められるものであり、その結果合意に達した内容が、仮に、当協会の管理著作物の割合が放送使用料に反映されるような方法でないとしても、そのこと自体特に問題になるものではないと考えます(4参照)。
 放送事業者が放送番組において利用した音楽著作物の総数に占める当協会の管理著作物の割合を放送使用料に反映するためには、放送事業者が放送番組において利用した音楽著作物の総数とこれに占める当協会管理著作物の数とが明らかになる必要がありますが、いずれも放送事業者の協力がなければ把握することができません。
 それにもかかわらず、今回の命令では、使用料徴収方法を具体的にいつまでにどのように変更すべきなのかが示されていません。


3. 今回の命令は、放送事業者の協力が得られない限り、当協会単独では実行不可能な内容です。
 

 仮に、放送事業者が放送番組で利用した音楽著作物の明細をすべて当協会に報告すること(放送曲目の全曲報告)ができるとすれば、放送番組において利用された音楽著作物の総数に占める当協会の管理著作物の割合を放送使用料に反映させることも不可能ではありません。
 放送曲目の全曲報告については、昨年4月の立入検査よりはるか以前の平成15年から放送事業者との間で具体的な協議を行っており、現在、NHKや民放キー局を中心とした一部の放送事業者において既に実施され、残りの放送事業者においても実現に向けた取組が進められています。実現までにはなお時間を要するものと予測されますが、放送事業者の理解と協力を得ながら対応していきたいと考えています。
 このように、関係者が自発的に努力を続けているさなかに、具体的方策も時間的猶予も明確にされないまま排除措置命令が出されました。


4. 当協会にお支払いただく使用料は、あくまでも当協会の管理著作物についての利用許諾の対価です。
 

 当協会は、放送事業者との間で、あくまでも当協会の管理著作物に係る利用許諾契約を締結しているのであり、この契約における使用料の算定において、他の管理事業者の管理著作物の利用状況を把握したり、それを考慮したりすると、かえって公正かつ自由な競争に反することとなるおそれもあります。
 放送事業者が当協会以外の管理事業者の管理著作物を利用した場合に、当協会の管理著作物についての利用許諾の対価(使用料)とは別に、その管理事業者に対して使用料を支払うことは当然のことであり、そのこと自体特に問題になるべきものではないと考えます。


以上

 

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