福岡市東区で起きた飲酒運転による3児死亡事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた元同市職員今林大(ふとし)被告(24)の控訴審公判が27日、福岡高裁(陶山博生裁判長)であった。弁護側は「被害者にも居眠り運転の過失があった。検察側が起訴事実を変更しないなら業務上過失致死傷罪は無罪とするか、一審を破棄し大幅に減刑すべきだ」と主張して結審した。判決は5月15日の予定。
弁護側は最終弁論で「(被害者の)大上哲夫(あきお)さんは衝突16秒前から被告の車を視認できたはずだが、居眠りが原因で気付くのが遅れた」と主張。被告は正常な運転が困難な状況ではなかった、とした上で、大上さんがライトに驚いて急ブレーキをかけたために被告が追突した一般的な事故にすぎず、居眠り運転をしていなければ海中転落は避けられたと述べた。
検察側は前回公判の論告で「被告は飲酒の影響で正常な運転が困難だった」として、より罪の重い危険運転致死傷罪の適用を求めている。
一審判決によると、今林被告は2006年8月25日夜、飲酒運転中に海の中道大橋で大上さん一家5人の車に追突。車ごと海中に転落させ、3児を死亡させるなどした。福岡地裁は危険運転致死傷罪ではなく、業務上過失致死傷と道交法違反の併合罪を適用し、懲役7年6月(求刑懲役25年)を言い渡した。
=2009/02/27付 西日本新聞夕刊=