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2009-02-21

抗がん剤の進化

テーマ:医療
検査データを見て、『残念ですが、手術はもう出来ない状態です・・・』。
そう患者さんに告知しなければならない瞬間は、何度経験しても慣れることはありません・・・。


進行して肝臓やお腹の中にまで広がった『がん』や、再発した『がん』は手術では切除しきれず、完全に治すことは難しく、延命や症状の緩和を目的として『がん』を行うことになります。


胃がんへの抗がん剤の効果は、かつてはあまり期待されませんでした汗
ところが、1999年に飲む抗がん剤『S-1(ティーエスワン)』が登場して、胃がんの抗がん剤治療を一変されることになりますアップ
ひと昔前なら、治療から半年以内で亡くなる患者さんも多かったのですが、1年以上も生存される患者さんの症例も増えました。


2007年には、切除不能な胃の進行・再発がんで、S-1に点滴の抗がん剤『シスプラチン』を併用すると、S-1単独よりもヵ月も寿命が延びて、割以上の患者さんが年間も生存したとの大規模試験の結果が出ています。
さらなる上乗せ効果を期待し、点滴の抗がん剤『ドセタキセル』を加えた治療を試験的に行っている最中で、結果が期待されるところでもあります・・・。


症例報告の論文にも書いた、僕の担当患者さんの一例をあげますが・・・。


僕も実際に末期である担当患者さんと新たな闘いを始めてみましたメラメラ
S-1を週間投与して週間休み、点滴の2剤は週間に回打つ治療を繰り返しました・・・。
結果、ヵ月後、肝臓に転移したセンチのがんは1.8センチまでに縮小し、針を刺して電気を流す『ラジオ』で焼き切りました。
胃のセンチあったがんも、センチにまで縮小していました。


一方で、吐き気や嘔吐などの抗がん剤によるひどい副作用とも患者さんは闘わなければなりません汗
このため、『シスプラチン』は途中でやめて、薬を2剤に減らしたところ、少しずつではありますが食欲も戻りました・・・。


僕は患者さんが治る可能性を根拠はありませんが、信じていますメラメラ
そうすることで、がんの治療にも好奇心や勇気が湧いてきます。
患者さんの『今、生きていることが楽しい・・・』。
こんな当たり前の思いを、もっともっと感じ続けてもらいたいと思うからです。
このまま、抗がん剤治療効果によって胃の原発がんが、さらに縮小すれば手術で切除することが出来ます・・・。


医師は神様ではありませんから、がん細胞という強力な生命体の前では無力な存在でしかありません汗
それでも、患者さんがあきらめていないのに、医師があきらめるわけにはいかないのです・・・。
現場で患者さんの命と向き合ってる医師一人一人の努力が、例え今は無力であったとしても、いつか必ず通じる日がくることを信じているからこそ思いは通じるものだと思います・・・。
先人のたくさんの医師たちが試行錯誤してきた『がん』。
今、少しずつ、ほんの少しずつではありますが、確実に前進してることだけは事実なのです・・・。




渋谷のガキ大将 Dr.ゆうじの熱血外科医コラム


渋谷のガキ大将 Dr.ゆうじの熱血外科医コラム



コメント

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■うれしい記事です

待ってる人がいます。
少しずつでも前進できるようにと多くの方が努力されていると思います。
先生もその一人
頑張って下さいね!
応援しています。
(=⌒▽⌒=)

■進歩に向かう

難しさや 試行錯誤しながら患者さんのために 癌に挑み 患者さんと共にあり続けようと 日夜頑張っているゆうじ先生、心から 応援しています!ご自分の身体も 留意くださいませ。

■はじめまして

なんか感動しました。>>患者さんがあきらめていないのに、医師があきらめるわけにはいかないのです 

■昔。。。

『癌』と『風邪』の特効薬は無い!!
…などと、言われていましたが。。。

医学は日々進歩しているのだから。。
いつか、癌も薬で治る未来が来るのでしょうか?

実際、特定の癌細胞にたいして。。すこぶる効果を発揮する抗癌剤などもありますよね。

『治癒』を信じて治療に臨む事が、良い方向に進む第一歩だと信じていますし。。。

臨床医の全ての方が。。そういう意識でいる事を願っています。

■医学の発展

Kちゃんの頭の腫瘍も画像判定で場所が悪く手術は出来ません。手術をするときは命の危険がある時で左半身との引き換えの手術になると言われました。
今の段階では完治はないのですが、抗がん剤や放射線で治療をしています。
水頭症を併発し一時は命が危なかったのですが水頭症の手術で命助かり寝たきりに近かったのですが今ではゆっくり喋れ車椅子ですが移動もできますよ。
脳腫瘍のために色んな後遺症とゆう代償がありますが命助かってKちゃんも毎日笑って過ごしてます。完治はなくとも助けて貰った命大切にしそれなりの楽しさを見つけ人生を悔いないように生きていきたい。きっと医学は進み完治の日を信じてます。

■無題

どんなにいい抗がん剤ができても、それを適切に使える医師がどれだけいるかが問題です。多くの医師に勉強していただきたい。

■抗がん剤

本当に癌治療は日々進歩しているようですね。
主治医からは一昔まえの抗がん剤治療は点滴針は刺しっぱなしで毎日24時間点滴などという状態もあったと聞きました。今では場合によっては日帰り点滴も可能な場合もあります。患者にとっては体力的にはモチロン、精神的にも非常にダメージも減りQOLもあがっているのでしょうね。
もうだめだと思う時期が患者とドクターの間で大きな隔たりがあると聞きますが、是非最後の最後まで一緒に向き合っていただきたいと願ってしまいます。決して症例のみに依らずその患者さんに起こるかも知れない奇跡にも賭けていただきと思います。

■頑張ってください。

私も、もし末期がんと診断がなされても、それでもやっぱり。。生きていたいと思います。そういう思いを受け止め、治療効果を信じて、一緒に戦ってくれるゆうじ先生のような熱意あるドクターに、最期の主治医でいて欲しいと思います。
どうか、患者様、先生。頑張ってください!

■無題

Drゆうじサンの日記、少し嬉しかったです。思わずコメントしてしまいました。
私のおじさんもガンで去年の7月に一年半と余命宣告をうけました。
でも1日でも長生きしたいと、食事療法や抗がん剤治療をしてました。
ある日、食事療法などもっと専門的に知りたい、少しでも長生きする為にどうすればいいか教えてもらいたいと思い、抗がん剤治療中でフラフラの体で国立ガンセンターを訪ねて行きました。でも、待たされて言われたのは、余命宣告を受けたのなら好きなものを食べて、好きな事をして悔いのない人生を送ってください…
早く死ねばいいと言わんばかりの突き放された言葉に叔父さんを初め皆ショックを受けていました。
抗がん剤も抗がん剤を打ちに行く前の日以外はほぼ寝たきりで食事もまともに食べれないという状態だし、鎖骨のあたりから入れてるみたいなんですが、金具!?が入ってる方の腕は痛みがひどくあがらなくなって主治医に相談したけど分からないと言われ日に日に動かなくなるわで、本当にこの主治医に任せて大丈夫だと思いますか?
人口肛門のストマーのテープ?の皮膚にあたってる部分が被れてるんですが、どうしようもないって言われたんですがホントにどうしょもないものなんですか?
私の住んでる地域にも、Drゆうじさんのような一生懸命になってくれる先生がいるのか分かりませんが、増えてほしいですね。

■お疲れ様です!

先輩の根気強い治療姿勢と、医者として泥くさいくらい真剣な姿勢は、ある意味反則だな~って思うくらい素晴らしいことだと思います(笑)

■初コメです。

去年6月末に 『胆嚢・肝臓原発不明のガン』言われました。余命も半年でした。手術も出来ないって言われて ティーエスワンを飲んでました。最近は『アンギオ・抗がん剤注入・塞詮』を二回やりました。
まだ 生きてます(*^^*)39才 見た目は 28才?
あたしの主治医も すごく いい Dr だと思います。
あたしもまだまだ頑張ります。先生も 頑張って下さいね(*^^*)
ちなみに 昔は OPe室ナースでした(≠ ̄∇ ̄≠)

■無題

髪の毛抜けない抗がん剤が出来て治療を前向きで進めていくひとが増えました

本当に進化して女性に優しい世の中です

■救われた気持ちデス

このブログを読んでいて、何だか救われた気がしました(^^)

■抗がん剤の進化!

抗がん剤がきけば、ラジオ波治療で焼ききれるんですね…!
医学の進歩は本当にすごいです
ゆうじ先生のようなお医者様がいらっしゃると勇気付けられます(ノ□T)
闘わなきゃいけない病気ですね!

■医学の進歩…

嬉しいですね。
やっぱり告知は…ゆうじ先生の心も重くしてしまいますよね!?

けれど、新たな治療薬ができ、手術が出来ないものが、手術の出来る範囲にまで縮小する…。
先生方にも、患者さんにとっても、未来という光差す出来事(^-^)

それで苦しくても、笑顔になれることはまた免疫力も高めることでしょうね。

寝る時間を惜しんで書く論文も….細かい地道な大変な作業も…全部が役に立ち、また今日も命を救っているのですね。

論文もお疲れさまでした。
本当に、いつも大変なお仕事お疲れさまですm(__)m

ゆうじ先生、大至急おだいじに…☆

いつもありがとうございます^^

■無題

初めてコメントします。
父も昨年、肺ガンで入院しました。切除で終わり
その後も転移は見受けられない、とのことで一応は安心しています。まあ、もう80近いので、ガンに限らず、またどこかおかしくなっても仕方ないんですが、でも、治せるものだったらそうして頂いて1日でも長くいてほしいと、当たり前ですが、そう思います。
また、いろいろ教えて下さい。

■両方とも

辛いですよね!ケモ!

1日でも早く症例が出来るといいですね。

■私も

整形外科の先生に、ガンとかではありませんが、かなり厳しい事を言われました…★

ALPの値が5000前後あるので半年に一回通院しなくてはいけないのですが…
そのままになってます…


☆きらら☆

■無題

私も抗がん剤治療をたくさんみてきました。
うちの病院もどんどん治験していて、これとこれ組み合わせちゃうの~って感じです。

しかも、副作用が少ない薬も最近ではお見かけしますし。副作用が強いからって、必ずしも効くとは限らないから厄介。。。

女性は髪が抜けない薬を希望する人が多いですし。どうせ治療するんだから(しかも長いこと)、QOLが維持できる抗がん剤って理想ですね~

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