抗がん剤の進化
テーマ:医療そう患者さんに告知しなければならない瞬間は、何度経験しても慣れることはありません・・・。
進行して肝臓やお腹の中にまで広がった『がん』や、再発した『胃がん』は手術では切除しきれず、完全に治すことは難しく、延命や症状の緩和を目的として『抗がん剤治療』を行うことになります。
胃がんへの抗がん剤の効果は、かつてはあまり期待されませんでした
ところが、1999年に飲む抗がん剤『S-1(ティーエスワン)』が登場して、胃がんの抗がん剤治療を一変されることになります
ひと昔前なら、治療から半年以内で亡くなる患者さんも多かったのですが、1年以上も生存される患者さんの症例も増えました。
2007年には、切除不能な胃の進行・再発がんで、S-1に点滴の抗がん剤『シスプラチン』を併用すると、S-1単独よりも2ヵ月も寿命が延びて、2割以上の患者さんが2年間も生存したとの大規模試験の結果が出ています。
さらなる上乗せ効果を期待し、点滴の抗がん剤『ドセタキセル』を加えた治療を試験的に行っている最中で、結果が期待されるところでもあります・・・。
症例報告の論文にも書いた、僕の担当患者さんの一例をあげますが・・・。
僕も実際に末期である担当患者さんと新たな闘いを始めてみました
S-1を2週間投与して2週間休み、点滴の2剤は4週間に1回打つ治療を繰り返しました・・・。
結果、3ヵ月後、肝臓に転移した6センチのがんは1.8センチまでに縮小し、針を刺して電気を流す『ラジオ波治療』で焼き切りました。
胃の5センチあったがんも、3センチにまで縮小していました。
一方で、吐き気や嘔吐などの抗がん剤によるひどい副作用とも患者さんは闘わなければなりません
このため、『シスプラチン』は途中でやめて、薬を2剤に減らしたところ、少しずつではありますが食欲も戻りました・・・。
僕は患者さんが治る可能性を根拠はありませんが、信じています
そうすることで、がんの治療にも好奇心や勇気が湧いてきます。
患者さんの『今、生きていることが楽しい・・・』。
こんな当たり前の思いを、もっともっと感じ続けてもらいたいと思うからです。
このまま、抗がん剤治療効果によって胃の原発がんが、さらに縮小すれば手術で切除することが出来ます・・・。
医師は神様ではありませんから、がん細胞という強力な生命体の前では無力な存在でしかありません
それでも、患者さんがあきらめていないのに、医師があきらめるわけにはいかないのです・・・。
現場で患者さんの命と向き合ってる医師一人一人の努力が、例え今は無力であったとしても、いつか必ず通じる日がくることを信じているからこそ思いは通じるものだと思います・・・。
先人のたくさんの医師たちが試行錯誤してきた『がん治療』。
今、少しずつ、ほんの少しずつではありますが、確実に前進してることだけは事実なのです・・・。
■うれしい記事です
待ってる人がいます。
少しずつでも前進できるようにと多くの方が努力されていると思います。
先生もその一人
頑張って下さいね!
応援しています。
(=⌒▽⌒=)