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【眼光紙背】携帯電話持ち込み禁止策に意味はない

MIAUの眼光紙背:第25回

1月30日、文科省は全国の国公立小中学校へ向けて、学校への携帯電話持ち込みは原則禁止すべきであるとの通達を出した。実は昨年7月にも文科省は持ち込み禁止の方向を示唆する通知を出している。

学校の携帯電話持ち込みの是非については、ネット上でも様々な議論があるのは承知しているが、単に学校への持ち込みを禁止するだけでは、現在問題とされている事象は解決できない。これは文科省も承知していて、先日の通達でも

“学校への携帯電話の持込みの禁止や、使用禁止を行うことだけでは、児童生徒を「ネット上のいじめ」やインターネット上の違法・有害情報から守ることはできないことから、このような情報化の影の部分への対応として、他人への影響を考えて行動することや有害情報への対応などの情報モラルをしっかりと教えることが重要であること。”

と述べている。つまりこの禁止通達は、学校側が持ち込み禁止策を打ち出す際のお墨付きが欲しいということで、ある意味文科省も出さないとしょうがない雰囲気に押されたものである。同時に公開された「学校における携帯電話等の取扱い等に関する調査」では、すでに持ち込み禁止している学校は、すでに小学校で約94%、中学校で約99%に登っている。つまり通達があろうがなかろうが、実態はこれ以上変わらないということである。

学校側が携帯電話の持ち込みを禁止したがるのは、余計な問題を学校に持ち込んで欲しくないということだろう。しかしその一方で、今年4月から一部先行実施される学習指導要領では、「各教科等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け」ることが明記されており、学校側としても単に問題を先送りしたり、技術科や情報科の先生に丸投げでは済まされない状況になっている。

青少年の携帯電話政策は、規制より先に教育があるべきだ。我々MIAUもそのような問題意識の下、これまで学校で使用するための情報リテラシー教材を制作して公開してきた。だが、新入学シーズンを迎えるにあたって、保護者に向けての啓蒙も必要だと感じている。特にこれから異性を意識するようになるとともに第二次反抗期を迎える中学生の親は、一番やっかいな時期に携帯電話の問題と向き合う必要がある。子どもも大変だが、親も昔よりずっと大変になっているのだ。

先日も都内の私立中学で、入学を控えた保護者向けの「入学準備説明会」で講演してきた。この説明会は入学する子どもの親全員が一同に会する貴重な機会であり、これを逃すともうあとは入学式しかない。これから関係を持つであろう子どもの親全員に、一度に携帯電話の問題点とリスク回避の方法を伝えるということ自体に意味があると考えたので、学校側に交渉して時間を取っていただいた。

なぜ全員に一度に行なうことにこだわったかと言えば、携帯というのはゲーム機と違いかならず相手があるものなので、1つの家庭だけが一生懸命対策しても意味がないばかりか、かえってそこの子どもが「付き合いが悪い」「メールの返信が遅い」といったつまらぬことでいじめや差別の対象になるからである。

しかしながらこのような啓蒙活動は、我々のボランタリーな活動だけではどうしても一部地域に限定されてしまうし、さらに言えばネット上だけで終わってしまう。そもそもネットで我々の活動を見つけられるような親だったら、問題はないのである。これからの課題は、情報リテラシー教育ができるリアルのプレイヤーを、一人でも多く作ることだ。そのための具体的な方策を、今後は「安心ネットづくり」推進協議会の中で練っていくことになるだろう。

繰り返し言う。単なる携帯電話持ち込み禁止策に意味はない。臭いものに蓋をするのではなく、子どもに携帯電話を通じて社会との接点を意識させることが今求められている。

(小寺信良/MIAU代表理事、ジャーナリスト)


プロフィール:
MiAU 2007年設立。ネット上の世論を集約し、政策提言などを行う団体。著作権法関連の動きについて、ネットユーザが意見表明するためのサポートを行っていくことを目的として設立された。
公式サイト:MiAU

眼光紙背[がんこうしはい]とは:
「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。バックナンバー一覧
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