デジタル・コンテンツ利用促進協議会への意見提出について
[お知らせ] 2009-02-10 23:45:00MIAUはこの度、デジタル・コンテンツ利用促進協議会の『会長・副会長試案』を受け、同協議会宛に以下の内容を意見として送付しましたことをお知らせいたします。
意見の概要
- 現行著作権法スキームの欠陥を埋めていこうとする試みには大いに賛同する。
- 原権利者の別段の意思表示に関するメルクマールについては、特別多数の賛成が望ましい。
- コンテンツID管理については、オープン性を確保したデータベースの運用を図るべきである。
- 対象コンテンツの権利侵害に関する免責には賛同するが、善意無重過失の推定に関しては仔細な根拠を明示すべきである。
- 合理的な方法に基づいて算定された公正な価格をもって申込みを行った者に対する応諾義務はあるべきだが、不調に終わった場合の裁判所による価格決定条項等を盛り込むべきである。
- フェア・ユース規定を盛り込む点は大いに賛成するが、その要件に関して検討がなされていない段階では判断が付きかねる。
意見の全文
項目1.「本試案の背景・目的と骨子」について
従来、コンテンツの権利者を保護し、その一方でコンテンツの流通や利用を促進するという、ある側面では相反するはずの法的役割は、著作権が一手に引き受けてきました。しかし、特にインターネット上を駆け巡るデジタルコンテンツの扱いに関しては、現行の著作権制度は必ずしもうまく機能しておらず、所々でほころびが生じてしまっているという点については、私たちも認識を同じくしています。
また、インターネットをはじめとする近年の技術革新とその一般への普及は、著作権における権利保護と流通・利用促進のデリケートなバランスを突き崩し、結果として権利者とユーザーの間に大きな溝を生むことになりましたが、これは、コンテンツ立国を目指す我が国の今後にとっても、大変好ましくない事態です。この点に関する認識も、本試案に提示されている通りであると考えます。
そうした事態に対して日本の社会状況を鑑み、個別具体的な契約や労使交渉等ではなく、法制度を整えることによって、現行著作権法スキームの欠陥を埋めていこうとする試みには大いに賛同するところです。
項目2.「デジタル・コンテンツの利用に関する権利の集中化」について
5頁にあります権利集中化要件の原権利者の別段の意思表示に関するメルクマールについては、他の法令でもあげやすく、かつ、不利益を受ける者に対する配慮もある程度なされていると主張しうる特別多数の賛成が望ましいと思われます。
「一人でも別段の意思表示なら特別法適用なし」または「すべての原権利者」としてしまうと、本試案の趣旨を空文化すると同義になってしまうでしょう。印象としてですが、過半数は若干乱暴な気がしますし、「いずれかの主要な原権利者とすること」とするのは要件が曖昧であるとの批判を免れないでしょう。
項目3.「対象コンテンツの権利情報の明確化及びその効果」について
6頁においては、権利情報の明確化につき、法定事業者が権利情報を一定の機関(以下、試案に従って「コンテンツID管理事業者」と呼ぶ)に登録し、コンテンツID管理事業者は登録した情報を電磁的方法により公示するということが検討されています。
このコンテンツID管理事業者は届出制であることが例示され、少なくとも独占や寡占としない制度設計が想定されているように思われますが、登録された権利情報を集積するデータの仕様やデータベースの運用については特に言及がありません。
私たちはこの点について、データベースのオープン性が保たれるよう、IDの仕様の標準化を行うこと、データベースが相互に連携しあえるよう相互接続性を担保すること等をも、謳うべきであると考えます。
7頁から8頁にかけて示されている、登録された対象コンテンツについて権利侵害について利用者、コンテンツ・ライセンス事業者及び法定事業者が善意・無重過失の場合には、現権利者は差止請求できず、また、人格権等に基づく異議申し立てについても一定の場合は免責されるとの規定については、利用者等のリスク軽減という意味で大変重要な提案であり、大いに賛同したいと思います。
しかし、登録された対象コンテンツについては利用者等の善意・無重過失が推定されると規定することは、一般に表見法理は善意無過失が主流である以上、行き過ぎの感は否めません。無重過失の推定を規定するのであれば、何らかの法的構成や別途の説明が必要とされるのではないでしょうか。
この点について、善意・無重過失推定案について根拠の説明がされていません。この点を明示してからでないと、善意・無重過失推定案と善意・無過失推定案のどちらがよりコンテンツの流通や利用を促進するという趣旨に沿うか判断がつきかねるように思われます。
項目4.「対象コンテンツの適正な利用と原権利者への適正な還元に向けた仕組み」について
8頁の法定事業者が負う義務については、A案において応諾義務を認め、B案においては法的義務でなく経済的合理性に委ねるということが提示されています。
A案においては、著作物の多様性からして「合理的条件」が万人の理解を得られるものにならないのではないかという批判がありえ、B案ですと、そもそも経済的合理性の形成に失敗しているから現在の状態があるのだという批判がありえると思われます。
この2案については判断は難しいものの、デジタル・コンテンツの流通促進という趣旨を貫徹するのであれば、既存の権利者のサボタージュを減らすためにA案に近い形で規定することが望ましいと考えます。その場合、調整が付かなかった場合における裁判所の価格決定条項を付ける等の手当て組み合わせますと、公正な価格決定のプロセスを担保しやすいと考えられます。
項目5.「デジタル・コンテンツの特性に応じたフェア・ユース規定」について
フェア・ユース規定を本試案の提示する特別法において設けることには大いに賛成します。
しかし、一定の要件の下でフェアユースとして認めるべきとしている点は賛同したとしても、その要件に関して検討がなされていない段階では判断が付きかねます。
したがって、デジタル・コンテンツの特性に応じたフェア・ユース規定の詳細が決定した段階で、再度パブリックコメントを募集されることを希望します。
第3回 MIAU勉強会「米国型モバイル放送のビジネスモデル ~MediaFLO~」
[お知らせ] 2009-01-21 22:30:00第3回を迎えるMIAU勉強会の今回のテーマは「MediaFLO(メディアフロー)」。 インターネットをアクティブに使いこなしていることにかけては自信のある皆さんでも、あまり聞いたことがない言葉かもしれません。
MediaFLOとは、米クアルコム社が中心となって開発した携帯端末向けの多チャンネル放送サービスのことで、日本の移動体端末向けTV放送「ワンセグ」の米国版と考えてもらうとわかりやすいでしょうか。実際、すでに米国ではAT&TやVerizonがMediaFLOを使った放送サービスの提供を始めています。
MediaFLOは、移動体端末向けにマルチメディア放送を配信するという面では「ワンセグ」と似ていますが、番組内容関する自由度や地域メディアとしての利用可能性など、「ワンセグ」とは異なる特徴も持っています。
今回MIAUでは、このMediaFLOを開発したクアルコム ジャパンの小菅氏をお迎えし、MediaFLOの特徴やワンセグ放送との違い、今後の展望や課題、地域活性化への活用等についてお話して頂きたいと考えております。
携帯端末を利用したコンテンツの流通について考えたいという方、あるいは地域密着型のメディアを探しているという方、ぜひ奮ってご参加ください。
概要
- 名称:第3回 MIAU勉強会「モバイル放送の新モデル ~MediaFLO~」
- 講師:小菅 祥之 氏(クアルコム ジャパン ビジネス開発シニアマネージャー)
- 開催日時:2009年2月5日(木)、19:30~21:30 (19:15開場)
- 参加者数:30名程度
- 会場:セシオン杉並 〒166-0011 東京都杉並区梅里1-22-32
https://www.yoyaku.city.suginami.tokyo.jp/HTML/0030.htm
(最寄り駅は丸ノ内線の東高円寺駅になります) - 参加費:一般2,000円
(MIAU正会員は無料、来場時に正会員登録して頂いた方にも適用)
お申し込み
info @ miau.jp へのメールにて、お名前とご所属(MIAU正会員の方はその旨)をご連絡ください。
著作者 : MIAU「『インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会』最終取りまとめ(案)」へのパブリックコメント
[お知らせ] 2008-12-17 21:18:15一般用医薬品の通信販売の継続を求める共同記者会見
[お知らせ] 2008-12-12 00:45:41MIAUは11日、以下の団体と共に、一般用医薬品のネットでの通信販売の継続を求める共同記者会見を行いました。
- 医薬品ネット販売推進協議会
- NPO法人日本オンラインドラッグ協会
- 社団法人日本通信販売協会
- ネットビジネスコンソーシアム
- ヤフー株式会社
- 楽天株式会社 ※ 五十音順
2009年度に完全施行される改正薬事法を受け、インターネットでの一般用医薬品(いわゆる大衆薬)のネットでの販売が規制されることについて憂慮を示すものです。MIAUは、情報を広める・集めるためには情報共有のためのツールであるインターネットを積極的に使うべきという観点から、現在厚生労働省から提案されているような内容での、一般用医薬品のネット販売の規制には、反対いたしします。
著作者 : 中川 譲インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン(案)等に係る意見の提出について
[お知らせ] 2008-11-27 13:34:56掲載が遅くなりましたが、MIAUでは、社団法人テレコムサービス協会による「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン(案)等」に係る意見募集を受けて、以下の内容で意見を提出いたしました。ご参考下さい。
著作者 : MIAU「青少年の安全なインターネット利用環境の整備を目指して関係者に望まれる取組みについて」へのパブリックコメント
[お知らせ] 2008-11-14 00:52:18MIAUではこのたび、財団法人インターネット協会による「青少年の安全なインターネット利用環境の整備を目指して関係者に望まれる取組みについて~書き込み可能なCGMサイト増加への対応~(中間とりまとめ)」に対しパブリックコメントを提出しました。内容は以下のとおりです。
著作者 : MIAU第2回MIAU勉強会「デジタル・コンテンツの利用促進のための法制度等の検討について」開催のご案内
[お知らせ] 2008-11-12 09:20:25
時下、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
従来、コンテンツの権利者を保護し、その一方でコンテンツの流通や利用を促進するという、ある意味で相反する法的役割は、著作権が一手に引き受けてきました。しかし、特にネット上を駆け巡るデジタルコンテンツの扱いに関しては、現行の著作権制度は必ずしもうまく機能しておらず、所々でほころびを生じてしまっている、というのが、今や多くの識者が共有する懸念となっています。インターネットをはじめとする近年の技術革新とその一般への普及は、著作権における権利保護と流通・利用促進のデリケートなバランスを突き崩し、結果として権利者とユーザの間に大きな溝を生むことになりました。これは、コンテンツ立国を目指す我が国の今後にとっても、大変好ましくない事態です。このため現在では、著作権を中心とする現行のスキームに対し、様々な形での改革案、代替案が模索されています。
今年3月、法曹関係者や経済学者、コンテンツ事業者など多数の有識者で構成される「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」が発表した「ネット法(仮称)」構想も、そうしたオルタナティヴの一つです。ネット上でのデジタルコンテンツ流通に特化した法制度を現行の著作権法とは別に作ることによって新たに「ネット権」を創設し、権利の集約、ひいては権利処理の円滑化を図るという大胆な構想は、発表以来多くの注目と激しい議論を呼び起こしました。
今回MIAUでは、この「ネット法」構想の立案において主導的な役割を果たされた弁護士、岩倉正和先生をお迎えし、デジタル・コンテンツに対する法整備の今後のあり方について貴重な知見をお伺いいたします。ぜひ奮ってご参加ください。
●概要
- 名称:デジタル・コンテンツの利用促進のための法制度等の検討について
- 講師:岩倉正和(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士・ニューヨーク州弁護士)
- 開催日程:11月22日(土)、14:30~16:30 (14:15開場)
- 参加者数:30名程度
- 会場:セシオン杉並 〒166-0011 東京都杉並区梅里1-22-32 (最寄り駅は丸ノ内線の東高円寺駅になります)
- 参加費:一般2,000円 (MIAU正会員は無料、来場時に正会員登録して頂いた方にも適用)
●お申し込み info@miau.jp へのメールにてお名前とご所属(MIAU正会員の方はその旨)をお送り下さい。
著作者 : MIAU
文化審議会著作権分科会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会中間整理」に関するパブリックコメント送付のご案内
[お知らせ] 2008-11-09 12:54:14MIAUではこのたび、文化審議会著作権分科会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会中間整理」に関する意見の募集に対して、以下の内容でパブリックコメントを送ることにいたしました。
文化庁では11月上旬に「著作権に関する国民意識調査」を実施するとのことですが、パブリックコメントを提出した個人に対してのみ、「意識調査」アンケートが送付されることになっております。
私たちは、過去の著作物利用促進と保護期間の延長が、単なる数の論理ではなく、長期間にわたって議論された内容が正しく制作に反映されることが望ましいと考えています。問題意識をお持ちの皆様には、ぜひ私どもの意見を参考にパブリックコメントをお送りいただき、国民意識調査にご参加いただきたいと思います。
パブリックコメントの締め切りは、11月10日までとなっております。直前のご案内になりまして恐縮ですが、皆様の積極的なご参加をお願いいたします。
---------以下コメント本文----------------
5.該当ページおよび項目名:(全体に対する意見として)
第2章 過去の著作物等の利用の円滑化
第3章 保護期間の在り方について
6.意見: 以下のとおり
私たちMIAUは、著作権・著作隣接権の保護期間を延長することについて反対します。
保護期間延長について今回の中間報告では、延長賛成、反対の両論を併記し、引き続き検討が必要としています。また利用円滑化方策に関しては、保護期間のあり方とセットにしての議論であるように思われます。
利用円滑化策を検討・実施することに関して異を唱えるものではありませんが、そもそも保護期間を延長すること自体が、著作物の利用円滑化を妨げる要因となっていることから、このような議論の方向性では延長問題に対する結論を得ることは難しいと思われます。
保護期間延長の効果に関して、産学協同による民間の研究成果では、調査データに基づく検討の結果、産業育成という観点から見て延長すべきではないという結論に至っております。これに対し延長賛成派の意見では、単に老齢な著作権権利者を慰撫するための目的でしかなく、両論併記に足る根拠が示せていないのではないかと思います。
利用円滑化方策に関しては、A案は「ネット権」を想定しているものと考えられます。しかしながら現時点でのネット権は、コンテンツの利用者側からも広くコンセンサスが取られている状態にはなく、そのあり方には十分な議論が成されておりません。
民間の取り組みである「デジタル・コンテンツ利用促進協議会」あるいは「コンテンツ学会」での議論を待った上で、制度的措置への検討を考慮すべきであると考えます。
著作者 : MIAU「法制問題小委員会平成20年度・中間まとめに関する意見」に関するパブリックコメント送付のご案内
[お知らせ] 2008-11-09 12:53:30MIAUではこの度、文化審議会著作権分科会「法制問題小委員会平成20年度・中間まとめ」に関する意見募集の実施を受けて、以下をパブリックコメントとして送付することといたしました。締切直前の公開となってしまい恐縮ですが、どうぞご参考下さい。
---- コメント本文 ----
5.該当ページおよび項目名:(権利制限の検討全体に対する意見)
第3節 リバース・エンジニアリングに係る法的課題について
第4節 研究開発における情報利用の円滑化について
第5節 機器利用時・通信過程における蓄積等の取扱いについて
第6節 その他の検討事項
6.意見: 以下のとおり
(第6節 その他の検討事項について)
私たちMIAUは、法制問題小委員会で対処すべきと結論された権利制限についてはすみやかに法改正を行ない、さらに個別規定では追いつかない分野についての懸念を解消するべく、フェアユースの一般規定を導入することを求めます。
(第3節 リバース・エンジニアリングに係る法的課題について)
法制問題小委員会におかれましては、リバース・エンジニアリングについては相互運用性・障害発見などの目的ならば「権利制限を早期に措置する必要がある」との意見で一致したとのことです(中間まとめ29ページ)。相互運用性や障害発見に限らず、単なる利用とは異なる技術上の調査全般をフェアユースの個別規定の対象とする法改正を求めます。 また、前期の同小委員会で法改正で対処すべきとの結論が出されていた検索エンジンに関する権利制限につきましても、すみやかに実行へ移す必要があります。
(第5節 機器利用時・通信過程における蓄積等の取扱いについて)
これまで議論されてきた個別の権利制限規定では、著作権法改正による対応を待つため、時間がかかるという問題があります。 その一方で、MYUTAや録画ネットといった、ネットの長所を活用した新しいサービスの試みは、実質的に私的使用の範囲でユーザーの利便性を上げているだけであるにもかかわらず、形式的な理由で複製権侵害とされてしまっています。 海外と国内とのネットサービスの格差を埋めるためにも、国内で挑戦的な事業者が登場でき、足を引っ張られない環境を整備する必要があります。
「イ、立法措置に対する許容性を判断する上での留意点のb」について
機器利用時・通信過程における蓄積等に関する議論の方向性は、妥当性が高いものとして高く評価するものであります。しかしながら60ページ「イ-b」における通信の過程における蓄積等及び通信に付帯する蓄積等の行為に対して、その内容および元ソースの入手経路などを鑑みて違法性を問うというのは、前段での妥当性のある議論の方向性からは逸脱しているように思えます。
また「知っていた場合又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合」に関して、プロバイダ責任制限法との整合性を確保するということは、権利者がいわゆる「情を知っていたか」を証明できない限り、プロバイダはアクセスログを提供することはないという点を明確にすべきであろうと思われます。
さらに本筋の問題として、仮にこれらの蓄積行為を違法化したとしても、蓄積された情報を権利者が回収することは困難であることから、現行の公衆送信権で対応可能な一次送信者の特定と比較してどれだけ有効性のある方策であるか疑問です。また違法とされるファイルに触れただけで、万単位の消費者が一度に違反者となるようなあり方は、法的安定性を著しく欠くものであると言えます。
「イ、立法措置に対する許容性を判断する上での留意点のd」について
61ページ「イ-d」では、P2P型の通信技術を活用したファイル交換ソフトにおける中継過程は、権利者の権利が及ぶものであるとされています。しかしながらP2Pの利用者にとっては、自分で利用しようと思っていない単なるキャッシュに過ぎないデータの中身が、違法か否かを知る術がありません。単にP2Pソフトの利用者であるというだけで違法とされる可能性が否定できない点で、P2P技術の利用・発展を萎縮させることとなり、この整理には問題があると言えます。
一方その後段では、「著作物等の提供及び享受自体に関わる行為」である場合は「今回の検討対象とはしていない」としており、論旨に整合性がありません。仮に「著作物等の提供及び享受自体に関わる行為」が、著作権者自らが合法的配布のために行なった行為であるとする場合、利用者は「良いキャッシュ」が生成されれば適法だが、「悪いキャッシュ」が生成されれば違法ということになります。
これはP2Pのあり方としては大変不自然なものであり、このような規制はインターネットの新たな技術発展を阻害し得るものであります。
---- 2008/10/9 22:00 第5節について、詳細な検討を加えましたので、追記しました。
著作者 : MIAU「日本版フェアユース」について要望書を提出しました。
[MIAUについて] 2008-10-20 17:30:00私どもMIAUは、内閣官房知的財産戦略本部、同「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」、および内閣官房知的財産戦略推進事務局へ宛てて要望書を提出いたしましたことをここにお知らせいたします。
「日本版フェアユース」を検討していた上記専門調査会で導入自体には異議なしとまとめられたところ、10月1日付で音楽著作権関連7団体が知的財産戦略推進事務局へ要望書を提出したため、急遽ヒアリングが実施されました。
そうした経過を見守りつつ、MIAUとして「日本版フェアユース」導入の方向性への支持を表明するとともに、権利者側とユーザー側とのバランスの取れた「フェア」な検討を要望したものです。
著作者 : MIAU内閣官房知的財産戦略本部 御中
同 デジタル・ネット時代における
知財制度専門調査会 御中
内閣官房知的財産戦略推進事務局 御中
「要望書」
時下、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、内閣官房知的財産戦略本部に設置されました「デジタルネット・時代における知財制度専門調査会」におきまして、いわゆる「日本版フェアユース」についての議論が続けられてきております。7月29日の第6回会合では、中山信弘会長が「その導入の必要性とか導入に当たっての課題については、大体大方合意ができたもの」とのまとめで専門調査会での議論を終え、この10月の会合から報告書のとりまとめが行なわれる予定でした。MIAUといたしましては、第6回会合で打ち出された方向性を支持しております。
ただ、音楽著作権関連団体から専門調査会に権利者代表の者が構成員として参加していないことなどを主張する要望書が知的財産戦略本部へ提出され、専門調査会では報告書のとりまとめを延期し、ヒアリングの場を設けることになったと伺っております。
「フェアユース」とは社会通念上 権利を及ぼすべきではないと考えられる範囲の利用態様であり、その基準は、権利者側のみならず、ユーザー側も参画し、訴訟・議論等の中で模索していくべきものです。
「日本版フェアユース」についての権利者に対するヒアリングの少なさを問題とするならば、ユーザー側からのヒアリングの機会も十分に与えていただけるよう、要望させていただく次第です。2008年10月20日
無限責任中間法人
インターネット先進ユーザーの会(MIAU)