TOP >> SPECIAL >> 戦極 國保尊弘広報インタビュー中編「勝負において生まれるものは、勝ち負け以外にもたくさんある」

| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
自分が観たいカードがすべてお客さんの観たいカードとは思わないですけど、ある意味自分たちが観たいとか、選手同士がやりたくないというカードは、割といいカードだったりもしますね

――吉田選手がバックドロップで投げられた時はビックリしませんでしたか。
國保 そうですね……。あとで本人に聞いたら「完全に乗っちゃった」って話をしていましたけど。「力も強いし、乗っちゃった」と。あえて耐えずに乗っかっちゃおうと。
――観ているほうはヒヤッとしたのでは?
國保 まあ、柔道の試合とまた違いますから。投げられるのを抑える競技ということでは、また違う展開になっているでしょうし。でも、「柔道を背負う」という気持ちで道衣を着て、ジョシュ(・バーネット)とああいう試合をして。あのカードを選んでよかったと思いますよ。ほかの選手にしても、久々のリングという部分ではそこまで強い選手とやらなくても、というのも正直あったんですけど、やっぱり吉田選手は柔道、三崎選手、五味選手はPRIDE王者。「僕が弱い相手とやるわけにはいかない。とにかく今考えられる一番強い相手を用意してほしい」というのが要望だったので。
――それで五味選手にもアメリカきってのストライカーを用意したと。
國保 ラドウィック選手もよその大きな大会が決まっている中で、それをキャンセルしていただいて。「五味選手だったらやる」と。
――エヴァンゲリスタ・サイボーグ選手と対戦した瀧本誠選手については?
國保 実は、僕は当日、ちょっと試合が観られなかったんですよ。映像でしか観ることができていないんですけれども。やっぱりローキックへの対策が取れていなかったということですよね。ローキックを何発かもらったところでヒザの方が動かなくなった。そうでなければ、なかなかあそこで簡単に足を取られることはないと思うんですが。まあ、あの段階では動ける状態じゃなかったと。
――試合後、瀧本選手とは話をしましたか。
國保 今までの少しずつ、少しずつ貯めてきた貯金をあそこで一気にはたいてしまったかなと。だからもう一回、貯金を貯めていかないといけないね、という話はしました。
――吉田選手と瀧本選手の復帰はいつごろになりそうですか。
國保 6月、8月ぐらいには再起戦ということで出てもらいたいと思っています。(※吉田は6.8 第三陣への参戦が決定)
――再起戦に向けて、現在の2人の心境は?
國保 吉田に関しては最近勝ちに恵まれていないですから、とにかく勝ちたいという気持ちはありますね。去年やらなかった分までやりたいという気持ちも強いようです。そんなにもう、多くの試合数をやろうとも考えていないと思いますから。どこかの段階では、本当にあと何試合というカウントダウンもしなきゃいけない、それぐらいの気持ちでこれから一試合、一試合挑んでいくと思います。瀧本に関しては、12月、3月と来ていますから、ちょっと一拍あけてもいいのかなと。もう一回気持ちを締め直して、同じような形でやられないように。ローキックへの対策というものをしっかりしていかないといけない。
――先日の会見では、吉田選手から06年12月に対戦したジェームス・トンプソン選手との再戦を希望する発言がありました。
國保 ずっと言っているんですけどね。実際、トンプソン選手も今や世界的に有名ですから、引く手あまたの状態で。試合も割と先まで決まっているという現状ではありますね。
――イベント運営の話に戻りますが、新たなイベントを立ち上げたことで、名のある選手を招へいするのが難しかったり、お金が余計にかかってしまうという現状もありますよね。
國保 我々としては、お金をふんだんにハタいて選手を持ってこようという気持ちはないですし、そんなこともなかなかできないですし。やっぱりイベントとして成立させることを考えると、ある程度の枠内でやっていかなければ。ただ、お陰さまで海外の選手たちから注目されているのか、ギャラの前にまず「出たい」という話をいただいていて。有名な選手から新しい選手まで、いろいろなところから。そこに関しては困らずに、とまでは行かずとも、使える状況ではあります。
――マッチメークも幅広く組んでいける。
國保 その通りです。ただ、噛み合うかどうかという問題であるとか、日程の問題であるとか、いくつかの問題は当然出てくるんですよね。ですからパズルというか、組み合わせは多様にできる状態です。
――プロモーターやマッチメーカーは一度やったらやめられないとよく聞きますが。
國保 どうなんですかね……。まあ、一つの面白みというのは当然あるでしょうけど、自己満足ではダメで、やっぱり結果がついてこないと。
――自己満足で終わったら、お客さんに失礼ですし。
國保 たしかに自分たちで決められるという意味では、自分が観たいと思うカードを組めることも可能ですから魅力的ではありますけど。
――それがファンのニーズと合っていないと、イベントも盛り上がりませんからね。
國保 その意味では、たくさんのお客さんの声も本当に参考にさせてもらっていますし、自分が観たいカードがすべてお客さんの観たいカードとは思わないですけど、ある意味自分たちが観たいとか、選手同士がやりたくないというカードは、割といいカードだったりもしますね。
――やりたくないという選手には、ひたすら説得を?
國保 そうですね。みんなでやっていますけど、僕もやれる範囲で。
――そういったことをうかがうと、「戦極〜第一陣〜」は改めて離陸も着陸もうまくいったイベントという気がしますね。
國保 たしかにそうですね。日本人に焦点を絞れば、あれで吉田選手が勝ってくれれば一番良かったのかもしれないですけど。でも、自分の良さも出しながら、ジョシュ選手もふんだんに技を使って、見ごたえのあるバックドロップまでファンに見せて(笑)。それなりに盛り上がって良かったです。

後編 「他のメジャースポーツとの違い? 一本に組織化されていないというところ。アマチュアがピラミッドになっていないというところですね」に続く>>

■戦極関連ニュースはこちら
■戦極 第二陣の対戦カードはこちら

| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |