麻生太郎首相とオバマ米大統領の初めての首脳会談がワシントンのホワイトハウスで行われた。大統領就任後、ホワイトハウスに招かれた最初の首脳となった麻生首相だが、安全保障分野での日米同盟の重要性や北朝鮮問題に共同で対処することなどを確認するにとどまった。共同記者会見も行われないなど、物足りない“初顔合わせ”と言わざるを得ない。
会談は首脳外交で求心力を回復したい麻生首相の強い要望で実現したという。米国側が応えたことで、首相の顔が立ち、指摘されていた対日軽視の懸念も払しょくされたといえよう。
半面、日本への注文も目立った。麻生首相が「世界第一、第二の経済大国として世界経済の回復に向け全力を尽くす」と協調を持ちかけたのに対し、オバマ大統領は「世界各国が内需を拡大して経済回復を目指すべき」とし、「日本も内需拡大に取り組んでもらいたい」と踏み込んだ。アフガン支援でも大統領は「開発や治安、インフラ整備でやるべきことが多く、日本が積極的な役割を果たすことを歓迎する」と期待を込めた。
オバマ大統領は、日米首脳会談の後、議会上下両院合同会議で初めての施政方針演説に臨み、経済危機克服のために政府が果たす役割の重要性を訴え、国家再建を約束した。当面の景気対策として雇用と金融の安定を強調する一方、将来的な投資分野としてエネルギー、医療、教育を掲げた。
約六割という高い支持率を背景に、演説は未来志向で「全世界のあらゆる人々がいま一度われわれを注視している」とのフレーズからは、世界をリードしてきた米国の力強さが伝わってくる。しかし、現実は厳しい。大統領就任以来、景気対策法の成立をはじめ、包括的な金融安定化策など大型の経済政策を矢継ぎ早に打ち出してきたものの、市場は悲観的で景気の底が見えず、不安感に覆われている。これからさらに厳しい局面が予想される中、経済大国第二の日本の役割には覚悟が必要だ。
大統領が経済政策に続いて訴えたのがテロ対策であり「友好国、同盟国とともに包括的なアフガン、パキスタン戦略を練り上げる」と表明した。既に首脳会談で、麻生首相が協力姿勢を示しており、ここでも一段の役割分担は避けられまい。
オバマ政権の誕生によって、日米関係は再構築が迫られている。新しい関係づくりに向けて、首脳会談は仕切り直しが求められる。
公立小中学校の給食に使われた食材のうち地場産の占める割合(品目数)は、二〇〇七年度の全国平均が23・3%にとどまったことが、文部科学省の調査で分かった。岡山県は40・9%で全国三位と高かったが、広島県は21・2%、香川県は26・6%だった。
調査は、主食とおかずがそろう完全給食を実施する全国約五百校で行い、合計十日分の献立を対象に野菜や肉、卵、コメなど食材総品目数のうち、地元の都道府県で生産された品目の割合を集計した。政府は〇六年の食育推進基本計画で一〇年度までに地場産の使用割合を30%以上に引き上げる方針を打ち出しているが、30%を超えたのは十四県しかなかった。
地場産食材の給食活用に関し、〇八年版食育白書は次のような利点を挙げる。「子どもが、より身近に、実感をもって地域の自然、食文化、産業などについての理解を深めることができる」「食料の生産、流通などに当たる人々の努力をより身近に理解することができる」「地場産物の生産者や生産過程などを理解することにより、食べ物への感謝の気持ちをいだくことができる」などである。
子どもたちは、給食を通して郷土の良さが味わえるわけだ。食の安全や自給率向上のためにも、学校での食育への取り組みをより充実させていきたい。
農家や漁業関係者らにとっても学校給食への地場産食材活用が増えれば「地域の子どもたちの食を支えている」と生産意欲が高まろう。岡山県内では生産者が学校を訪ねて児童と一緒に給食を楽しみ、顔の見える関係を深めているところもある。
課題は、地場産食材の安定的な調達だが、生産者と学校などの協力によって、地場産の利用率を高める努力が大切だ。
(2009年2月26日掲載)