過日、「ほんの少しの勇気をもつと」という記事を投稿したが、それに続いて今回は、カナダ人の生徒から聞いた話を紹介させていただく。話の内容自体は実話とは確認できないが、実話として広く伝わっている話だ。
~~~~~~~~~~~~~ ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のヨハネスブルク(南アフリカ)からロンドンに向かうフライトで実際にあった話。50歳くらいの白人女性が黒人男性のとなりの席を割り当てられていた。明らかにこれに不満を持ったその女性はキャビンアテンダント(CA、スチュワーデス)を呼んだ。 「お客様、どうかされましたか」とCAは尋ねた。 「これを見てわからないの?」とその女性。「こんな席に座らされるのは納得がいかないわ。ほかと取り替えてちょうだい」 「どうぞ落ち着いて下さい、お客様」とCA。「このフライトは満席だと思いますが、他の席が空いているかどうかちょっと調べてきます」 CAはその場からいったん離れ、数分後にまた戻って来た。「お客様、私の予想通り、エコノミークラスには空席がありませんでした。ビジネスクラスも満席です。けれども、ファーストクラスに1つだけ席が空いていました」 その女性が口を開けるのをさえぎるようにCAは続けた。「エコノミーからファーストに席を移すのは、BAとしては異例のことですが、機長は、お客様をこれほど失礼な者のとなりに座らせるのは言語道断だと言っています」 それからCAはゆっくり隣の黒人男性の方に顔を向け、続けた。 「ということですので、もしよろしければ、お荷物をまとめてファーストクラスにお移り下さい」 その瞬間、まわりの乗客たちはびっくりし、それから拍手喝采を贈った。 ~~~~~~~~~~~ この話は、教え子が英語のメールで教えてくれたものだ。彼女もおそらくだれかからメールで受け取ったもので、内容そのものは事実かどうかわからない。仮に事実だったとしても、出来事そのものは、相当昔の話だろう。今、この白人女性のような発言をすれば即訴えられてしまうに違いない。しかし、いい話で私にはリアルに感じられた。2004年4月、自分のブログで紹介したことがある。 世界は人種差別をなくす方向に進んでいる。日本でもそうだ。ただ、インターネット上では人種差別的な発言が繰り返されている。この傾向は、世界の動きと逆行すると思う。近隣諸国に経済面でキャッチアップされ、ある側面では追い越されようとしている国の人たちが差別的な発言をすれば、国外からは、上記エピソードの白人女性のように、見苦しく映りかねない。天は人のうえに人をつくらず、ということをいつも自分の心の中に刻んでおきたい。 (カナダ在住) 【編集部注】波線ではさんだ部分が、事実としては確認できないことをよりわかりやすく示すため、見出しと本文を再編集しました。(2006/11/9 20:15)
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