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米海軍、中国に対抗 東シナ海での対潜訓練に原子力空母

2009年2月26日6時2分

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 米海軍が、潜水艦からの攻撃を想定した日米共同訓練(対潜特別訓練)を重視し、米本土から空母を派遣するケースが増えてきた。沖縄周辺の東シナ海で9〜12日にあった訓練は、27日に長崎県の佐世保港へ寄港する原子力空母ジョン・C・ステニスが参加し、海上自衛隊を含め計21隻の艦艇が集まり、冷戦後最大規模となった。空母が対潜戦に特化した訓練に参加するのは異例で、米軍関係者は中国潜水艦の脅威が背景にあると説明する。

 対潜特別訓練は57年に始まり、計116回を数える。沖縄周辺では93年から実施されるようになり、03年からほぼ毎年、この海域が選ばれている。従来の参加艦艇は駆逐艦、潜水艦が中心だった。

 だが、昨年2月の訓練に、米西海岸に母港がある原子力空母ニミッツが参加。ステニスも西海岸から遠征し、今回の訓練に臨んだ。防衛省幹部は「空母を守る訓練だが、必ずしも空母がいる必要はない。米海軍の最近の対応は異例だ」と言う。

 在日米軍関係者は、中国の潜水艦がここ数年、東シナ海で濃密に活動していることが背景にあると指摘する。03年11月、九州南端の大隅海峡を浮上して通過。04年11月には米軍基地が集まるグアム島を一周後に沖縄県・石垣島沖の領海を侵犯した。

 この関係者は、最も深刻な出来事として、06年10月、沖縄近海を航行中の空母キティホークに中国の攻撃型潜水艦が接近し浮上した事例を挙げた。潜水艦は護衛の米駆逐艦などに探知されずに近づき、空母を魚雷の射程内に入れていた。「中国の潜水艦を改めて脅威に感じた事件だった。中国は海軍の近代化を進めており、対潜戦のあり方を見直す必要がある」と、空母参加で訓練する意義を強調した。

 この出来事を知る海自幹部は「東シナ海は水深が浅い。空母のノイズが反響して探知しにくくなったのではないか」と分析する。(佐々木康之)

     ◇

 江畑謙介・拓殖大客員教授(安全保障論)の話 米海軍が空母を対潜訓練に参加させたのは、日本に対潜戦への積極的な関与を促す狙いがある。01年の米同時多発テロ以降、アフガニスタンやイラクなどでの作戦で、空母の任務は過密になったが、保有数は減っている。中国の潜水艦の脅威が高まる一方、対潜戦の能力向上に手が回らず、対潜戦の役割を海上自衛隊に担わせようとしているのではないか。

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