
標高30メートルほどの高台に立つ若宮神社の鳥居=輪島市門前町黒島町
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二〇〇七年三月の能登半島地震の際、輪島市門前町黒島町、若宮八幡神社の木造の鳥居
が飛び上がり、最長一メートルほど移動していたことが二十四日までに、東京工大の翠川
三郎教授(都市地震工学)らの調査報告で分かった。あと一カ月で地震発生から丸二年、
未曾有の揺れの強さがあらためて裏付けられた格好で、住民は被災体験を次世代へ語り継
ぐ思いを新たにしている。
同大大学院総合理工学研究科の翠川教授と三浦弘之助教が、地震直後に輪島市や穴水町
など被災地で行った調査を基に論考をまとめた。
報告によると、震度6強だったとみられる黒島町では、高さ約五メートルの木造鳥居の
柱六本が約一五度、回転しながら礎石のほぞを離れ、北西方向に三十センチから一メート
ルほど移動していた。礎石付近の地面には柱が引きずられたような痕跡はないため、一飛
びでずれたとみられる。
このほか、翠川教授らは同神社近くの福善寺で約七十センチ、名願寺で五十センチ、そ
れぞれ鐘楼の移動を確認。穴水町の法性寺では、鐘楼の柱がはねて三十センチ動いた後、
再び三十センチ先に飛んだとみられる跡があった。七尾市や珠洲市付近で鐘楼の移動はみ
られなかった。
翠川教授は、物体の移動状況が、過去の大地震や震度計のない地域の震度を推定する物
差しとして役立つとしている。さらに十四年前の阪神大震災では「消防車が跳躍、移動」
したことも確認されており、「震度6強から鐘楼などの移動が起こりやすくなる。固定さ
れていない小さな構造物では注意が必要だ」と述べた。
能登半島地震では、輪島市内の石の鳥居はほとんどが大きな被害を受け、若宮八幡神社
の参道入り口にある石の鳥居は倒壊した。黒島町の川端一人区長は「地震に耐えた市内で
も数少ない木製の鳥居を大切にしたい」と話した。