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【インタビュー】本木雅弘 気付けば「役」を超え… (2/4ページ)
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《上京してオーケストラのチェロ奏者となった大悟(本木雅弘)は、リストラで転職を余儀なくされる。故郷の山形に戻った彼は納棺師になり、師匠(山崎努)のもと、悪戦苦闘の日々を送ることに…》
27歳の時、プライベートで約1カ月間、インドを旅し衝撃を受けた。「ガンジス川ではごく自然に遺体が流れていました。死が身近で日常の中にある。死生観について意識せざるを得なかった」。帰国後、納棺師になったいきさつを自伝的につづった青木新門さんの著書「納棺夫日記」を読み、さらに死生観について深く考えるようになり、「おくりびと」の構想が生まれた。
撮影前、本職の納棺師に付いて訓練を受けたが、未知の職業を演じることは「不安でしようがなかった」と明かす。それを克服するため、ある行動に出た。
「納棺の場に立ち会いたいと無理を言ってお願いしました。そこにはどんな空気が流れているのかを知りたかった。この空気感を理解できなければ、とても納棺師を演じることはできないと思ったんです」。そしてスタッフの一員として現場に同行。遺族の心情に配慮して、変装して顔だけは隠した。
「おばあさんのご遺体でした。足がとても冷たくて…。でもまだ魂はそこに残っているようでした。家族の人たちは、納棺が進む過程でその死を徐々に受け入れ、納得していくのだと実感できました」
2カ月間の集中レッスン後、指導してくれた納棺師は「もうあなたは立派に納棺師ができますよ」と太鼓判を押してくれた。