鹿児島県奄美市で03年に起きた飲酒ひき逃げ事件に絡み、死亡した大分県国東市の建設会社員、佐藤隆陸さん(当時24)の遺族が、事故直前まで飲酒運転の車に同乗していた鹿児島県内の男性(25)に約5400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、福岡高裁宮崎支部であった。横山秀憲裁判長は男性に請求通りの賠償を命じた一審・鹿児島地裁判決を支持し、男性の控訴を棄却した。
高裁判決は、「運転を制止すべき注意義務に違反し、事故に責任がある」とした一審判決を追認。横山裁判長は「飲酒による酩酊(めいてい)状態が事故原因の一つと推認される」と述べ、「共同飲酒との因果関係はない」とした男性側の主張を退けた。
一審判決によると、男性は03年11月15日夕から運転者の男らと一緒に知人宅などで酒を飲んだ。翌16日未明、飲酒量が約6リットルに達した男の車に同乗。男は車内でさらに発泡酒1缶(350ミリリットル)を飲んだ。その後、男性が知人を見つけて下車した直後、男は市道を横断中の佐藤さんをひき逃げし、死亡させた。
隆陸さんの母親で原告の悦子さん(57)は「飲酒運転は重大な犯罪ということを伝えるためにも、意義ある判決を頂いた。同乗者が飲酒運転を止めてさえいれば、息子は死なずにすんだことを重く受け止めてほしい」と話した。