リクルートコスモスなど、旧日本郵政公社から過去3回にわたる一括売却で424の物件落札
オリックスグループへの一括売却が白紙に戻ったばかりの「かんぽの宿」問題で、さらなる「疑惑の影」が出てきた。新たに飛び出した別の企業をめぐり、国会も紛糾している。
24日の衆院総務委員会で、小泉改革に触れた現郵政担当の鳩山総務相は、「小泉元総理ほどの大きな方が、アメリカからの要求をのむなど、わたしは思っていませんし、思いたくもありませんが。日本人の中にも、頭の中がアメリカ的になっている人がいますから」と話した。
さらに、「郵政だけで3分の2を取ったわけじゃない」と、麻生首相を擁護した自民党の笹川総務会長は24日も、「(民営化が)あとに戻ったことなんてないんだから。そういうことについて、小泉さんが文句を言う筋合いはまったくない。わたしは(かんぽの宿)特別委員会をつくってでも調査したらどうかと言っている。満室なのにもうからないなんて、聞いたことないもん」と発言した。
この発言に、ほかの幹部は「それは党内結束を乱すことになると反論しておいた。かんぽの宿の件も含めて、郵政民営化で、今そんな議論を始めたら、やぶ蛇になる」と述べている。
「かんぽの宿」をめぐり、聞こえてくるのは、「売却を急ぐほどの赤字ではない」という声。
徳島・三好市にある阿波温泉「あわの抄」は、かつては年間4,000万円の赤字を出していて、旧公社時代にすでに売却されている。
「あわの抄」の坂本智洋支配人は「おかげさまで、あわの抄は黒字になっております」、「スタッフの数自体はですね、かんぽの時には60人くらい。今現在は、基本のスタッフ数は15人」と語った。
さらに、佐賀・武雄市にある「四季のそら」の小野 章支配人は「天下りの問題もあると思います。総支配人職にいらっしゃった方は、天下りだったと思います」と話した。
現「かんぽの宿」の出入り業者は「人件費が4割超えたらアウトですよ。人件費がかかっちゃってるんですよね」と語った。
しかし今、旧公社時代に売却された物件に、別の企業の影が出てきている。
日本郵政担当者は「平成16(2004)年度から平成18(2006)年度までの3回のバルク(一括)売却につきましては、いずれも株式会社リクルートコスモス、および、商号を変更しました株式会社コスモスイニシアを代表とする共同購入者が落札したものであります」と話した。
2004年度から、3回にわたる一括売却で424もの物件を落札したのが、現在のコスモスイニシア社が代表を務めるグループ。
この会社は、2005年までの名前は「リクルートコスモス」。
その親会社「リクルート」の社長・会長を歴任した河野栄子氏は、オリックスの宮内氏が議長を務めていた「総合規制改革会議」の委員だった。
鳩山総務相は「本当にこれは偶然なんだろうかという疑問を抱くのは、私だけではないと思うし」と述べた。
この件に関し、コスモスイニシア社は「事実関係の確認が取れていないので、コメントいたしかねる」とコメントした。
また、リクルート社は「総務大臣のご発言の詳細を確認できておらず、コメントは差し控えたい」とコメントしている。
(02/24 19:15)