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遺族、涙ぬぐい傍聴/カレー事件

2009年02月25日

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上告審弁論の傍聴券を求める列ができた=東京都千代田区

● 上告審 弁論に表情硬く

 24日に最高裁第三小法廷で開かれたカレー毒物混入事件の上告審の弁論。和歌山からは遺族、被害者ら8人が傍聴した。改めて無罪を主張する林真須美被告側に対し、上告棄却を求める検察側。弁論は約1時間20分に及んだ。遺族は時に涙をぬぐいながら、判決前最後の主張を見守った。(宮崎亮、根本俊太郎)

遺族と被害者らはこの日朝、JR和歌山駅から電車、新幹線を乗り継いで東京に向かった。弁論開始の約20分前の午後2時40分ごろ、最高裁第三小法廷に入廷した。

 長女の幸(みゆき)さん(当時16)を亡くした鳥居百合江さん(58)は最前列に座った。ひざには幸さんの写真数枚を収めたケースを置いた。開廷の直前、ハンカチで顔を押さえた。夫の孝寿(たかとし)さん(当時64)を亡くした谷中(たになか)千鶴子さん(71)も隣で涙をぬぐっていた。ティッシュを取り出し、鳥居さんにそっと手渡した。

開廷後まもなく、林被告の安田好弘弁護人が「原判決には憲法違反と判例違反、著しく正義に反する事実誤認があります」と弁論を読み上げ始めると、遺族らは表情を硬くした。さらに「犯人は確実に別にいます」。事件の背景に地元飲食店同士の対立があると主張すると、被害者の一人は目を閉じて横に大きく首を振った。

午後4時前、検察側の弁論が始まる。谷中さんと鳥居さんが身を乗り出して、聴き入っていた。

午後4時20分ごろ、「判決期日は追って指定します」という那須弘平裁判長の言葉で閉廷。遺族と被害者らは、付き添いの警察官2人に守られるようにして2台のタクシーに分乗して最高裁を後にした。

閉廷後、報道陣に囲まれた被害者支援弁護団の大谷美都夫弁護士が、谷中さんと鳥居さん連名のコメントを読み上げた。「大阪高裁の判決から最高裁までの月日が長く、早く判決が出ることを望んでいました」。死刑判決だった一、二審と同じ判決を願う――とする内容だった。

傍聴したもう1人の遺族も「一、二審と同じ判決を強く望んでいます」との談話を出した。

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