大阪市で民間病院を運営する財団法人が、同市に対して病院の固定資産税などの賦課決定処分の取り消しを求める訴訟を起こし、最高裁が市の上告不受理を決め、市の敗訴が確定していたことがわかった。市は過去7年分の課税額と還付加算金計約17億円を法人に返還するとみられる。市は、病院を固定資産税の課税対象外とした判決は極めて珍しいとしている。
財団法人は、大阪市北区で医学研究所北野病院を運営する田附(た・づけ)興風会。市によると、同会は01年に病院を建て替え、新病院の運営を開始。翌年から市に土地・建物の固定資産税と都市計画税を課税された。
地方税法では財団法人自らが学術研究を行う施設は非課税とされることから、同会は03年に市を提訴。06年に大阪地裁が「売店や食堂などを除いて非課税とすべきだ」などとして市側の訴えを退け、大阪高裁も控訴棄却。市側が上告受理を申し立てていた。
大阪市内では、病院運営主体の多くが医療法人のため課税対象で、財団法人にも同様に課税しているという。市の担当者は「決定を厳粛に受け止めたい」。法人側は「画期的な司法判断」とする談話を出した。(島脇健史)