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【コラム】繰り返されるKTX欠陥工事(上)

フックボルトにたまった水、計50cc

 今年1月5日、韓国高速鉄道(KTX)の第2期工事区間(大邱-釜山間)のうち、慶尚北道永川市の一部の路盤で、枕木に亀裂が入っているのが初めて発見された。この一帯ではレールの敷設工事はすでに終わり、手抜き工事が発覚しなければ、その上をKTXの時速300キロの列車が走っていたところだった。列車とレールの重みを支える最も重要な設備である枕木に亀裂が入るというのは、列車を脱線させ大惨事を引き起こしかねない重大な欠陥だ。

 施工者である韓国鉄道施設公団、現場監理を担当した韓国鉄道技術公社、軌道の敷設を担当した「サムピョE&C」社、枕木を製造した「チョノン・レールワン」社が合同で現場の調査に乗り出した。亀裂が入った枕木は1-2カ所どころではなかった。そして、亀裂はすべてフックボルト(レールと枕木を固定する「締結装置」を枕木に取り付けるため、コンクリート製の枕木に埋め込むナット状の部材)を中心に発生しており、亀裂が入った部分を調べたところ、コンクリートは約45度の角度で円錐形を描くように裂けていた。その中には氷の塊が見えた。その氷を除去し、中に入っていた水を汲み出したところ、その量は50ccに達した。これは典型的な「凍上現象」による事故だ。水が入ってはならない部品が水びたしになり、その水が冬の寒さで凍って膨張することで、コンクリートに亀裂が入ったのだった。フックボルトの設計図には、水が入らないよう、半固形状の圧縮用潤滑油や発泡スチロールなど発泡性のある充てん材を使用しなければならないことになっているが、実際には水を吸い込むスポンジが使われていた。

 国土海洋部の局長は「(亀裂が入った)原因を知って、本当にあきれるばかりだ」と話した。大惨事を引き起こしかねない重大なミスの原因が、1個当たり50ウォン(約3円)にも満たない小さな部品にあったということが、信じられないというわけだ。防水用のスポンジはとても硬いが、吸水用のスポンジはグニャグニャしている。その違いは専門家でなくても、誰でも分かるはずだ。

 だが不幸なことに、工事の関係者たちは誰もこうした事実を知らなかった。ただの一度も点検を行わなかったためだ。枕木を製造した会社は、下請け会社から納品されたフックボルトを検査せずに使い、またレールの敷設に当たっては、基となる技術を持つドイツの技術者7-8人や現場監督(鉄道技術公社)一人が常駐していたが、こうした事実を把握していなかった。

イ・ドンハン社会部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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