年をとった時、中学時代の友達から何十年ぶりかで「会おう」と誘われたら、どんなにうれしいだろう▼でも、先日ハンセン病講演会で聞いた大島出身の奥村学さん(70)の話は違った。かつての友は「ありがたいけれど、もう誘ってくれるな」と断ったという。大島を離れた人の中には、古里を明かさず暮らす人もいるという▼奥村さんの父はハンセン病施設の職員だった。高校のころ奥村さんは「僕は職員の子。入所者の子ではない」と友達に話していた▼今、声をかけられれば積極的に講演に出かけるという奥村さん。「長い間、私も差別意識を持っていた。そのしょく罪でもあるのです」。ハンセン病は「過去」のこと、と言えない現実を知った。【三角真理】
毎日新聞 2009年2月25日 地方版