開催中のラグビーの日本選手権(28日決勝)で、下部リーグ枠から勝ち上がったリコーが大健闘、大会を盛り上げた。22日の準決勝で惜しくも三洋電機に敗れたが、2回戦ではトップリーグ(TL)5位のNECに24−23で競り勝つ「番狂わせ」を演じた。TL降格から1年での返り咲きにも大きく貢献したのが、オーストラリア代表キャップ102を誇るスティーブン・ラーカム(34)だ。【吉見裕都】
リコーはTLの下部に位置するトップイースト11で10戦全勝。トップチャレンジも2戦2勝で通過し、来季のTL復帰を果たした。
今季から新加入したラーカムはリーグ戦8試合に出場。身長190センチ、体重90キロとバックスとしては巨漢ながらスピードと巧みさを兼ね備えている。SOでの1試合を除き、FBで最後尾からチームをコントロールした。FBでは出場7試合で一つずつトライを挙げ、決定力の高さも披露。また、相手キックの処理に抜群の安定感を見せ、攻守にリズムをもたらした。
22歳で豪州代表「ワラビーズ」に選出され、99年、03年、07年と3度のワールドカップに出場。母国ではすでに名選手の評価を確立したスターだ。来日前は、南半球の強豪プロチームが集うリーグ「スーパー14」のブランビーズ(豪州)でプレーしていた。
来日を決意した理由を「豪州に近く、かつての同僚も多い。そして、向上している日本ラグビーの手伝いがしたかった」と語る。
22日の準決勝後、記者に囲まれたラーカムは、来季もリコーでプレーすることを明言。3年契約の1年目を振り返り「TL昇格を達成できて満足している」と話す一方で、「日本のラグビーをさらに理解しなくてはいけない」と課題も口にした。日本のラグビーの印象は「下部リーグしか見ていないが、速いしスキルもある」と言う。
TL準優勝チームの三洋電機には3−59と大敗したものの、「(相手の力を知ることが)来シーズンの原動力になる」とラーカムの表情は明るい。今季のフル出場は2試合だけだが、格上との対戦ばかりとなる来季、「バーニー」(ラーカムの愛称)の出番も増えるに違いない。ファンにとっては、世界最高レベルのプレーが存分に楽しめそうだ。
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