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アライグマ被害1億6千万円 16都道府県で農作物荒らす (1/2ページ)

2008.2.18 10:20
このニュースのトピックス癒やし・ペット
わなに入って捕獲されたアライグマ=2007年9月、北海道旭川市(同市提供)わなに入って捕獲されたアライグマ=2007年9月、北海道旭川市(同市提供)

 ペットとして輸入後、捨てるなどして野生化したアライグマによる農作物被害が16都道府県で計約1億6400万円に上っていることが農林水産省の調査で18日、分かった。環境省が昨年全国を対象に実施したアンケートの集計では36都道府県で生息を確認。天敵がいない上、繁殖力が強いために生息域を拡大しているとみられる。

 農水省によると、平成18年度の被害額が最も多かったのは兵庫県(約4342万円)。次いで北海道(約2782万円)、埼玉県(約1962万円)、大阪府(約1872万円)、和歌山県(約1664万円)、神奈川県(約1061万円)の順になっている。足跡などでアライグマの被害と分かるという。16年度に被害が確認されたのは北海道など6自治体だけだった。

 兵庫県はブドウなど果物、北海道はトウモロコシやメロンの被害が多い。神奈川県鎌倉市ではアライグマが民家の天井裏に侵入。排せつ物や騒音などの被害が市街地に拡大している。

 環境省や各自治体は捕獲などの駆除に取り組んでいるが、目撃情報は減っていないのが実情。旭川市の担当者は「いったん狙われた畑は、一晩で大きな面積がやられる」と話す。

 酪農学園大の浅川満彦教授(寄生虫学・野生動物学)は「アライグマの体内には人や家畜に深刻な感染症を起こす病原体は見つかっていない。だが木登りや民家に侵入するなど行動範囲が広いので、病原体の運び役になって新しい感染症を引き起こす可能性がある」と指摘している。

 北米原産のアライグマは1970年代に放送されたテレビアニメの影響でペットとしての輸入が増えたが、捨てたり、逃げ出して野生化。駆除については「人間の都合でかわいそう」との声も出ている。

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わなに入って捕獲されたアライグマ=2007年9月、北海道旭川市(同市提供)
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