太陽光発電設備の普及を促すため、家庭などで発電したのに使い切れなかった電気を1キロワット時当たり約50円で電力会社に買い取らせる制度が、10年度にも導入される。今国会で法整備を目指す方針を経済産業省が24日発表した。電力会社は現在、家庭の余剰電力を1キロワット時23〜25円程度で自主的に買い取っている。新制度は価格を2倍に引き上げた上で10年程度、電力会社に買い取りを義務づける。
買い取りにかかった費用は一般の電気料金に上乗せされる。経産省は、標準的な家庭で毎月の電気料金が数十円〜100円程度上がるとみている。
ドイツでは、太陽光発電などによる電気を電力会社が1キロワット時約70円で長期間買い取る「固定価格買い取り」制度を導入し、新エネルギーの利用が爆発的に増えた。そのため日本でも、同制度の導入を求める声が与野党から出ていた。経産省はこれまで、「消費者の負担が増える」などとして制度の導入に否定的だったが、姿勢を転換した。
国内では07年末で約44万戸の住宅に計155万キロワットの太陽光発電設備がある。政府は昨年7月に決めた「低炭素社会づくり行動計画」で、太陽光発電の導入量を20年に現状の10倍、30年に40倍にするとした。1月からは、家庭用太陽光発電設備に対する補助金(1キロワット当たり7万円)を復活させた。
しかし、設置には標準的な設備で約230万円かかり、元を取るのに20年近くかかる。経産省は、補助金制度に加えて固定価格買い取り制度を整えることで、初期費用を回収できるまでの期間を短くし、太陽光発電設備の普及を急拡大させたい考えだ。