■外国籍女性は「地域の宝」
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2009.02.24 |
石巻でシンポ 多文化共生を考える
通訳サポート充実訴え/
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国籍や民族の違いを超えた地域社会を目指す「多文化共生を考えるシンポジウムin石巻」(県、県人権啓発活動ネットワーク協議会主催)が二十二日、石巻文化センターで開かれた。石巻地方で外国籍住民の支援活動をしている国際サークル友好21の関係者や、移民を中心に研究する文化人類学者らが「輝け!宮城に暮らす外国人女性たち」をテーマにパネル討論。自分を高め、家族を思う意識の高い外国籍の配偶者たちが、「地域の宝」として可能性を発揮できる環境整備について意見を交わした。
/地元支援団体 関係者3人が意見/
東北大学大学院の李仁子(イ・インジャ)准教授が「外国人女性は日本に暮らすだけでよいのでしょうか」の題で基調講演。南米に移民した日本人と、ハワイへ「写真結婚」で渡った韓国人の研究例を基に、国境を越える女性の特徴に「聡明」「家族思い」「人生を開拓する意思がある」「生活力が強い」などを挙げた。
李准教授は「新天地で可能性を試そうという女性の力を眠らせてはいけない。彼女たちは『ただの外国人』ではなく、妻や嫁であり、母親にもなる。現在と未来を同時に担う大切な社会の構成員。地域の宝物になれる人材だと思って、温かく見守ってほしい」と述べた。
パネル討論では、外国人のための日本語教室を開講するために国際サークル友好21を一九九九年に立ち上げた事務局の清水孝夫さんと、同教室から巣立った韓国出身の梶原美佳さん、中国出身の畢麗君(ビ・リジュン)さんの三人がパネリストを務めた。
日本語習得に苦労しながら韓国料理の食材を製造・販売して起業した梶原さんは「外国人を嫁に迎える家族を事前に研修するシステムがあれば、苦労が少なかった。出産のときに産科医と言葉がほとんど通じず泣かされた。医療面の通訳サポートを充実させてほしい」と訴えた。
通訳のほか、中国人小中学生の教育サポートをしている畢さんは「日本語が難しい上、文化や習慣の違いも大きく、精神的なストレスで帰りたいと思ったこともあった。子どものために何とか頑張り、今は友達もできて余裕ができた。つらいとき相談できる場所があるといい」と述べた。
日本語教室を運営して十年になる清水さんは「外国人が日本の社会で生活する上で最も大切なのは言葉。ボランティアだけでは限界もあるので、生涯学習に位置付けて学習内容、スタッフを充実させてほしい。外国人を支援する医療、福祉、教育の横断的なネットワークの構築を検討してもらいたい」と呼び掛けた。
コーディネーターを務めた県国際交流協会の大村昌枝企画事業課長は「都会で仕事をする外国人と違って、宮城では定住が多いので家庭や地域の貴重な人材になる。自立し、自分の力を発揮するまでサポートが必要。地域に根差した多文化共生を考えたい」と述べた。
石巻地方には約千百人の外国人が居住登録。県内では一万人が集中する仙台市を中心に一万六千五百人の在留資格登録者がいる。県は外国籍居住者が今後も増加すると見込んで〇七年七月、全国に先駆けて「多文化共生社会の形成に関する条例」を制定した。 |
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