愛・蔵太さんの「愛・蔵太の気ままな日記」12月13日と14日のエントリーが面白い
12月13日:
「しかしここまですごい嘘記事を書く共同通信の通信員がいるとは思えないのですが」
12月14日:
「共同通信にダマされてこんなコメントをしてしまった武部幹事長ですが」
要約すると、共同通信はサマワ訪問したた大野功統防衛庁長官と自民武部・公明冬柴両幹事長が地元のムサンナ州警察本部長に会わなかったと報じ「視察の中身が問われそうだと」皮肉たっぷりの批判記事を書いているが、実際はムサンナ州警察本部長はサウジアラビア国境付近に滞在しており共同通信の取材も受けていなかった事が判明した。
一方で武部幹事長は共同通信の捏造記事を捏造と知らずにインタビューを受け、ムサンナ州警察本部長と面会しなかった事について「ぬかっていた。そんなに自治警察が整備されていると思っていなかった」と釈明してしまったそうだ。
「ムサンナ州警察本部長」の批判は、どうもサマワにいる変な人の捏造っぽいんですが(俺の日記の以下のところ参照→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20041213#p5)。
言ってもいないことを言ったと記事にする
↓
それのコメントを求める
↓
はじめの「言ってもいないこと」が言ったか言っていないかはどうでもよくなって、そのコメントだけが「実際に言ったこと」として批判の対象になる。
すげぇ。
いや、全く仰る通り。これマッチポンプを越えてブービートラップだろこりゃ。
しかし共同通信のブービートラップはこれだけではなかった。この捏造報道直後の12月14日に共同通信が配信した下記のニュース↓
【ワシントン13日共同】アーミテージ米国務副長官は13日、日本国内で北朝鮮への経済制裁を求める声が強まっていることについて「経済制裁というカードを見せていることが有効で、実際に始めると大変だ」と述べ、現時点での制裁発動は慎重にすべきだとの見解を表明した。
ワシントンを訪れた小池百合子沖縄北方担当相との会談後、同相が明らかにした。
副長官は北朝鮮への経済制裁について「タイミングとやり方には議論の余地がある」と言明。6カ国協議再開の見通しについては「北朝鮮は米国や日本の人事の動きをにらんでいるのではないか」と指摘、いずれ北朝鮮が開催に応ずるとの認識を示した。
(共同通信) - 12月14日10時28分
この共同通信の10時28分配信の記事を皮切りに、時事通信・産経・毎日など各新聞社が次々と「米、北朝鮮制裁に慎重姿勢」と報道し始める。
【ワシントン13日時事】訪米中の小池百合子沖縄・北方担当相は13日、ワシントンでラムズフェルド米国防長官やアーミテージ国務副長官ら米政府高官と相次いで会談した。この中で北朝鮮問題に関連して同担当相が「経済制裁も選択肢の1つ」と説明したのに対して、米側は「制裁というカードを見せていることが有効。実際に発動すると大変で、裏をかかれることもある。タイミングや方法には工夫の余地がある」と述べ、慎重姿勢を示した。
(時事通信) - 12月14日11時1分
見出しに踊る「慎重姿勢」があちこちで目に付き、まるで日米間で経済制裁についての調整が巧く行ってないかのような印象を受けた。前のエントリーでも書いたがこの記事にノコノコ釣られて民主党の"吹流し代表"岡田克也氏が「米国と調整するのが政治の責任だ!」なんて大口開けて靡き始めるし。
ところが翌日15日の共同通信の記事では一転
【ワシントン14日共同】アーミテージ米国務副長官は14日、ワシントンで、超党派でつくる拉致救出議員連盟の平沼赳夫会長と会談し、日本による北朝鮮への経済制裁に「米国は決して消極的ではない」と、制裁発動に関しては日本の意向を尊重する姿勢を強調した。
副長官は13日の小池百合子沖縄北方担当相との会談で、制裁に慎重な見解を表明していた。6カ国協議再開に影響しかねないため、制裁を回避したい米側の立場は変わらないが、日本国内で「外圧」との反発が予想されるため配慮を示し、発言をトーンダウンさせたとみられる。
(共同通信 12月15日12:46)
米国は引き続き経済制裁を回避したいが、日本国内の反発を恐れて配慮し発言をトーンダウンさせて「米国は決して消極的ではない」と発言を改めたように報道している。
ところが各新聞社の記事では全く違う事実が浮かび上がってくる。非常に興味深いので全て読み比べてみて欲しい:
読売新聞↓
【ワシントン=菱沼隆雄】訪米している自民党の平沼赳夫・拉致議連会長は14日、アーミテージ国務副長官、ケリー国務次官補(東アジア太平洋担当)、マイケル・グリーン国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長らと拉致問題をめぐる北朝鮮への経済制裁問題を中心に意見を交わした。
平沼会長によると、アーミテージ副長官は、日本が対北朝鮮経済制裁を検討することに米国が消極的と報じられていることについて、「真意が伝わっていない」と不満を示した上で、「(米国は)決して消極的ではない」と基本的に支持する考えを強調したという。
ただ、制裁の方法については「軽いものから重いものまで段階を踏んで行うことが大事だ」と述べ、第1段階から大きく踏み込むことは避けるべきだとの考えを示したとしている。
また、ケリー次官補は「制裁を行うか、準備にとどめるかは日本の判断だが、日本がいずれの判断をしても(米政府は)協力、支持する」と述べたという。
一方、国務省のバウチャー報道官は同日、アーミテージ副長官の見解について、「拉致問題解決を目指す日本の努力を支持するが、日本が制裁を発動すべきかどうかについての立場は決めていない」と説明した。
(2004/12/15/12:32 読売新聞)
朝日新聞↓
訪米中の平沼赳夫・拉致議連会長は14日、国務省でアーミテージ副長官らと北朝鮮への経済制裁について話し合った。副長官は「日本が経済制裁を検討することに、米国は決して消極的ということではない」と述べ、容認する考えを示した。ただ、「制裁は軽いものから重いものまであり、段階を踏んで行うことが必要だ」として、時期や手順を十分に検討するよう促した。
副長官が13日に小池沖縄・北方担当相と会談した際、制裁発動に慎重な発言をしたと一部報道で伝わったため、修正を図ったものと見られる。
平沼氏によると、副長官は会談で「小池氏と会った時に自分が発言した真意が正確に伝わっていない」と語った。副長官は米国の対シリア制裁を例に挙げて、「最も緩い第1段階から制裁の効果が出たため、第2段階、第3段階まで進まなかった。段階を踏んで行うことが必要だ」という趣旨の説明をしたという。
また、ケリー国務次官補は平沼氏に「制裁を行うか、あるいはその準備にとどめるかは、日本の判断の問題だ。米国としては、日本がいずれの判断をしても協力していきたい」と語ったという。
一方、バウチャー米国務省報道官は14日の記者会見で、副長官は小池氏との会談で「日本が北朝鮮に制裁を科すべきかどうか、我々は態度を決めていない」と語ったと説明した。そのうえで、副長官の発言は「日本が制裁に踏み切るかどうか、どちらか一方を勧めたわけではない」と強調した。
(asahi.com12/15 10:51)
毎日新聞↓
【ワシントン佐藤千矢子】訪米中の平沼赳夫前経済産業相(拉致議連会長)は14日、米国務省で、アーミテージ米国務副長官らと会談した。平沼氏の説明によると、アーミテージ副長官は前日の小池百合子沖縄・北方担当相との会談で北朝鮮への経済制裁に慎重な姿勢を示したと伝えられたことについて「自分の真意が正確に伝わっていない」と修正し、「(日本が制裁を決断すれば)支持する」と表明した。
アーミテージ氏は小池担当相との会談で「タイミングや方法は工夫の余地がある」と発言、制裁実施に慎重姿勢を示したと受け止められていた。
平沼氏はケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)とも会談。ケリー氏も「制裁を行うか、準備にとどめるかは日本の問題。米国は日本がいずれの判断をしても協力していきたい」と述べた。
(毎日新聞 2004年12月15日 11時41分)
日経新聞↓
【ワシントン=森安健】米国のアーミテージ国務副長官は14日、国務省内で平沼赳夫前経済産業相と会談し「米国は北朝鮮に対する経済制裁に慎重ではない」と表明した。前日の小池百合子沖縄・北方担当相(環境相)との会談で慎重姿勢を見せたと伝えられたが、軌道修正した。
平沼氏によるとアーミテージ氏は会談の冒頭「自分の発言の真意が伝わっていないため、明確にしたい」と語り、経済制裁への米国の立場を説明した。副長官は「制裁は軽いものから重いものまであり、段階を踏んでやることが必要だ」と指摘。米国がシリアに制裁を発動した際に「第1段階の緩い制裁から効果を上げた」との事例を引き合いに出し、制裁を使い分けることを助言した。
これとは別に平沼氏と会談したケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「制裁を実際に発動するか準備にとどめるかの判断はあくまで日本の問題だ。米国としては日本がいずれの判断を下してもサポートしていきたい」と述べた。
(NIKKEI.NET 12月15日10:52)
そして産経新聞↓
アーミテージ米国務副長官は14日、ワシントンで、超党派でつくる拉致救出議員連盟の平沼赳夫会長と会談し、日本による北朝鮮への経済制裁に「米国は決して消極的ではない」と、制裁発動に関しては日本の意向を尊重する姿勢を強調した。
副長官は13日の小池百合子沖縄北方担当相との会談で、制裁に慎重な見解を表明していた。
平沼氏によると、副長官は「報道は私の真意を伝えていない」とし、「米国は揺るぎない立場で支援していくことを、横田めぐみさんのご両親ら拉致被害者の家族に伝えてほしい」と説明。同時に米国の対シリア経済制裁を例に挙げ「軽い制裁から重い制裁に段階を踏むやり方もある」と述べ、制裁を行う場合は段階的な実施が望ましいとの認識も示した。
またケリー国務次官補(東アジア太平洋担当)は「制裁を行うか、準備段階にとどめるかは日本の判断だ。いずれの判断でも米国は支援していく」と強調した。(共同)
(Sankei Web 12/15 12:35)
ちなみに一番分かり易くアーミテージ氏のコメントが紹介されているのは産経新聞。その記事はなんと共同通信の配信だが、共同通信のWEBサイトには掲載されていない。
つまり「アーミテージ氏は『報道が真意を伝えていない』」とご立腹な訳だ。そしてその報道とは共同通信の14日の記事に始まった「米、経済制裁に慎重」の事だ。
14日の共同通信と時事通信の記事から小池氏とアーミテージ氏のやり取りをだけを抜き出すと
小池氏「経済制裁も選択肢の一つだ」
アーミテージ氏「制裁というカードを見せていることが有効。実際に発動すると大変で、裏をかかれることもある。タイミングや方法には工夫の余地がある」
これだけ読めば別にアーミテージ氏は経済制裁に消極的でもなんでもなく、単に「やるならその使い所をもっと考えなくちゃ駄目だよ」とアドバイスしてるだけ。それを共同通信はデカデカとヘッドラインに「米、北朝鮮制裁に慎重姿勢」とぶち上げ、発言の一部を切り取り、語尾を微妙に変え
「経済制裁というカードを見せていることが有効で、実際に始めると大変だ」と述べ、現時点での制裁発動は慎重にすべきだとの見解を表明した。
と報道した。つまりこれは共同通信が意図的に「米国が経済制裁に慎重だ」と印象付ける為の巧妙な情報操作だ。で、マスゴミはみなさん「左へ~習え!」状態で後追い記事を出しまくった。
更に凄いのは産経新聞以外のマスコミ各社は翌15日に平沼氏との会談でアーミテージ氏が「報道」こそが真意を捻じ曲げていると指摘した事をハッキリ書かずに、なんとなくアーミテージ氏が発言修正したかのような書き方をしている。が、これも大嘘。
14日の小池氏へのアーミテージ発言
「制裁というカードを見せていることが有効。実際に発動すると大変で、裏をかかれることもある。タイミングや方法には工夫の余地がある」
↓
15日に平沼氏へのアーミテージ発言
「米国の対シリア経済制裁を例に挙げ『軽い制裁から重い制裁に段階を踏むやり方もある』と述べ、制裁を行う場合は段階的な実施が望ましいとの認識も示した」
基本的に発言の方向性は同じなんだよね。要するにマスゴミは共同通信が垂れ流した「米国は経済制裁に慎重」という共同通信自身が持った印象をニュースとして垂れ流していただけ。マスゴミは真実を伝えると言う事を放棄し、ニュース配信会社の妄想をばら撒く事に協力していたんだよね。これぞマスゴミの護送船団方式。しかも真実がバレても一社たりとも共同通信の怪しい虚報を指摘せず、微妙に論点を暈す事であたかも間違っていたのはアーミテージ氏のような報道にしている。前から分かりきっていた事だけど、糞マスゴミに自浄作用なんてまるっきり期待出来ない事をここでも自ら証明している。
特に捏造記事を垂流した共同通信!なーにが「6カ国協議再開に影響しかねないため、制裁を回避したい米側の立場は変わらないが、日本国内で「外圧」との反発が予想されるため配慮を示し、発言をトーンダウンさせたとみられる」だ、嘘を嘘で塗り固めるような事をするんじゃねぇ!全部お前の妄想だろうが!
しかしなんと、この一連の捏造報道・情報操作で勘違いした経済制裁強行派の読者の一部はあたかも「小池百合子氏がアーミテージ氏の真意を捻じ曲げて伝えた」と勘違いして、「小池百合子は北朝鮮の犬か」等と間違ったバッシングをネット上でおこなう始末。
虚報がバレてもタダでは起きない糞マスゴミ。見事にアーミテージ氏と小池氏は武部幹事長同様共同通信のブービートラップに引っかかってしまった訳だ。
TBS「サンデーモーニング」で石原都知事の発言を捏造したTBS社員が書類送検されたが、共同通信のムサンナ警察本部長捏造記事とアーミテージ発言歪曲記事もマトモな国民の知る権利を著しく妨害しているという点で同様に摘発すべきじゃないか?
石原都知事はそろそろ「(社団法人である)共同通信認可権は東京都にある。3度起こしたら認可を取り消す。」という発言を実行に移して貰えないだろうか?