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介護報酬改定、現場から発言−東社協シンポ

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 東京都社会福祉協議会の介護保険居宅事業者連絡会は2月23日、今年度第2回総会を渋谷区で開いた。同時開催のシンポジウムでは、来年度の介護報酬改定について現場からの声が上がった。

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 同連絡会の山田禎一運営委員長は冒頭のあいさつで、「介護報酬改定と同時に要介護認定も変わる。介護や認知症を知る立場として、主治医意見書についても意見してほしい」と述べたほか、介護従事者の処遇改善についての調査が今年9月に実施されることについて、「次回改定の参考になるため、しっかり対応してほしい」と述べた。
 総会に続いて、日本社会事業大専門職大学院の田島誠一教授が介護報酬改定を踏まえた経営戦略について講演。医療・福祉は、報酬改定など制度変更によるリスクが付きまとうことから、利用者のニーズを予測し、制度変更の予兆を鋭く感じ取る必要があるとした。
 今後の介護保険については、給付範囲が制限され、給付水準も抑制される方向に向かうと予測したほか、若年層に保険負担を求めたり、障害者介護との統合や施設給付から居住費を切り離したりすることも考えられるという。
 医療機関や介護サービス事業者は、利用者や家族、地域住民の信頼性を高めながら、「この事業所でなければ」と思われるような差別化を図る必要があると強調。「社会福祉法人にずっといるので、経営理念の大切さは身に染みている。一般企業でも重要さは変わらないだろう」と長期の展望を求めた。

 続いて行われたシンポジウムでは、現場における介護報酬改定の影響と今後の運営について、訪問介護、通所介護、居宅介護支援の現場責任者が意見を述べた。
 日本介護センターの福永美枝子営業企画課長は、来年度の介護報酬のアップが、そのまま事業所の売り上げ増に結び付かないとした。従業員の賃金アップがあるほか、区分支給限度額も引き上げられないため、利用者へのサービス抑制も考えられるという。
 今後は経営基盤の立て直しを進めるが、サービスに影響する人員削減は行わずに、売り上げ目標の確実な達成や人件費以外のコスト削減で対応するほか、キャリアや介護技術を考慮した処遇改善に取り組みたいとしている。
 通所介護の立場からは、「あすなろみんなの家」の今裕司施設長が、来年度の報酬改定で介護福祉士の配置や勤続年数などが評価されることに触れ、「どれだけの事業所が要件を満たせるのか」と疑問を呈した。通所介護では小規模ほど赤字傾向にあるとし、基本報酬単価が変わらない中、「加算頼み」では非常に厳しいと述べたほか、収入が増えたとしても、赤字事業所では処遇改善には回せないと指摘した。
 大規模事業所加算についても、2006年度の報酬改定では、月当たり900人を超えないように定員を抑えるような動きもあったと指摘。来年度の改定でも利用者にしわ寄せが行くのではないかと危惧(きぐ)した。その一方で、介護福祉士の資格取得が目標として明確になったと評価した。
 居宅介護支援の立場からは、「やさしい手」大橋在宅介護支援センターの井岡幸子氏が、ケアマネジャーが40件以上を担当する場合、全件数に逓減制を適用する現行制度を改めたことをはじめ、病院と利用者の情報共有などに着目した評価、認知症高齢者や独居高齢者に対するケアマネジメントについての加算ができたことを評価した。同社の居宅支援事業部では、▽ケアマネジメントと事業運営の適正化▽医療との連携▽認知症−について重点的に取り組んでいくという。
 質疑応答では、福永課長が「利用者に対して『良いサービス』の説明が難しい。介護福祉士が増えたというのは、利用者には見えない」と述べたのに対し、今施設長は「現在、家族などに説明をしているところ。事情をよく説明して、胸を張って加算を取らせてもらう」と語った。
 また、コーディネーターも務めた田島教授が、「ケアマネジャーとして、加算を取るからいい施設なのか、費用が高い施設なのか、どちらを利用者に説明するか」と井岡氏に質問したのに対し、井岡氏は「どちらも説明します」と答えた。
 田島教授は、離職率が10%以下の事業所と30%以上のところに二分されていることを説明したほか、介護職の給与が全産業の平均に比べて低過ぎることを指摘。「ただし、今回の改定で本給をいじるのは慎重に。3年後にどうなっているか分からない」とまとめた。


更新:2009/02/23 23:14   キャリアブレイン

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