携帯の画像伝送、救急現場で一定の評価
携帯電話を利用した新たな画像伝送システムの在り方について考える総務省消防庁の「救急業務におけるICT(情報通信技術)の活用に関する検討会」(座長=稲葉英夫・金沢大大学院教授)は2月23日、最終報告を大筋でまとめた。同庁は、昨年11月から2か月半にわたって同システムの実証検証を実施。検証結果では、医療機関、消防機関の双方からシステムを評価する声が多かった一方、今後の課題として画質の向上や安定した回線の確保などが挙がった。同庁は年度内にも、各都道府県に最終報告の内容を示し、都道府県を通じて各市町村の消防本部に情報提供を行う方針だ。
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09年度がん対策予算案は237億円 同システムは、救急車内に設置されたビデオカメラや画像伝送装置などにより、救命救急センターの医師が、携帯電話で患者の容体を把握できる仕組み。医師は携帯電話の画面上で心電図や脈拍数などの情報を見ることができるほか、カメラの遠隔操作で患者の外傷をより正確につかめるため、救急隊員に指示や助言をする際の効果が期待されている。
最終報告では、実証検証の評価として、▽救急搬送業務の効率性の向上▽医師への正確な情報伝達▽救急車内での継続的な容体観察―などが挙がった。また、予想される医学的効果では、音声のみの情報伝達で、救急隊と医療機関の間で患者の重症度を共有できない現状に触れ、画像情報が加わることで「医学的判断の精度は向上し、患者予後の改善に結び付く可能性が高い」としている。
一方、実用化に向けた今後の課題としては、画面の大きさや明暗といった画質向上を望む意見のほか、カメラの増設、安定した回線の確保、セキュリティー面の保護などが指摘された。
実証検証では、石川県内5消防機関の管内をモデル地区に定め、心肺機能停止(CPA)、脳疾患、心疾患、重症外傷などの搬送患者を対象とした。
同庁が41の医療機関(有効回答数32)と46の消防機関(同29)を対象に行った調査では、「有効性や効果がある」と答えた医療機関の割合が全体の84.4%で、消防機関では96.6%に上った。容体別の効果については、両機関とも「傷病者の容体のより正確な把握(伝達)」を挙げる意見が多かった。
更新:2009/02/23 23:04 キャリアブレイン
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