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RV飲酒事故:同乗者に懲役1年猶予5年 仙台高裁判決

 宮城県多賀城市で05年5月、飲酒運転のRV(レジャー用多目的車)が仙台育英高生の列に突っ込み、3人が死亡、15人が重軽傷を負った事故で、助手席に同乗し道交法違反(酒酔い運転)のほう助罪に問われた同市高崎2、会社員、佐々木大輔被告(31)の控訴審判決が24日、仙台高裁であった。志田洋裁判長は、罰金25万円(求刑・懲役1年6月)とした1審・仙台地裁判決を破棄し、懲役1年、執行猶予5年を言い渡した。

 仙台地検によると、同罪で懲役刑が言い渡されたのは初めて。志田裁判長は判決理由で「高度の危険性を内包する酒酔い運転の犯行を促進させた。社会的な影響は甚だしく、罰金刑を選択した原判決は軽きに失する」と厳しい判断を示した。

 判決によると、佐々木被告は05年5月22日未明、運転手の佐藤光受刑者(30)=危険運転致死傷罪で懲役20年が確定=と飲酒した後、助手席に乗り込んで駐車料金の一部を支払い、自宅に送るよう暗に依頼した。

 昨年9月の1審判決は反省の態度を認めて罰金刑にとどめ、検察側が控訴。弁護側も「受刑者はもともと、酒酔い運転の実行を決めていた」と無罪を主張し控訴していた。志田裁判長は事実関係について1審判決を踏襲したうえで「罰金刑を選択すべき事案とは認めがたい」と指摘した。

 事故を巡り、佐々木被告はいったん不起訴とされたが、07年9月に検察審査会が不起訴不当を議決。仙台地検は再捜査の末、08年4月、略式起訴が多かった同罪では異例といえる在宅起訴に踏み切った。また、飲酒運転を助長する行為への厳罰化を求める声が高まり、07年9月施行の改正道交法に飲酒運転同乗罪が新設された。

 事故で亡くなった細井恵さん(当時15歳)の父実さん(59)は10日付で高裁に実刑判決を求める意見書を提出した。判決後、「このままでは飲酒運転はなくならない。最高裁に上告してもらいたい」とコメントした。【須藤唯哉、鈴木一也】

毎日新聞 2009年2月24日 20時23分

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