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監督が明かす…幻と消えたもうひとつの「おくりびと」

過去の出来事を清算

 米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した「おくりびと」。聞き慣れない“納棺師”という職業に就いた男を主人公にしたストーリーで注目を集めたが、滝田洋二郎監督(53)は当初、全く別の「おくりびと」を考えていたという。幻と消えたもうひとつの「おくりびと」とは−。

 本木雅弘(43)演じるチェロ奏者が失業し、故郷に戻って見つけた仕事が納棺師。本家「おくりびと」は、仕事に引け目を感じていた主人公が、やがて誇りを感じるようになるまでを描いている。ところが、滝田監督が当初イメージして映画化を考えていた「おくりびと」は、現代社会の片隅でひっそり亡くなった人の身辺整理をする人たちを主人公にした映画だった。滝田監督が明かす。

 「身元不明のまま亡くなった人や、死後日にちが経ってから見つかった人、事件に巻き込まれた人など、葬儀をしてくれる家族もなく、看取ってくれる身内もなく死を迎える人がいる。その人たちが残していったものを整理することを仕事にする人がいる。そういう人を『おくりびと』の主人公にしようと考えたこともあった」

 亡くなった人とはまったく縁がなく、職業として人間の最期にかかわる点では納棺師と変わりない。納棺師は、最期を美しく化粧して旅立たせる。まさに英語タイトル「DEPARTURES」という意味がぴったりはまる仕事だが、当初滝田監督が思っていた“おくりびと”は、過去の出来事を清算する役回りで、本家とは正反対のポジションだ。

 結局、滝田監督のアイデアは、本木がかねて映画化を望んで走り回っていた納棺師のストーリーに取って代わることに。それが結果的に米アカデミー賞受賞につながった。

 滝田監督は29歳のとき、カンヌ国際映画祭監督週間でさっそうと国際デビューを果たし、世界の映画人では以前からその名を知られていた。コメディー映画の名手で、「おくりびと」にも随所にコメディーセンスが発揮されている。その一方で、「眠らない街 新宿鮫」(1993年)のようなハードボイルドタッチのサスペンス映画も得意にしている。もうひとつの「おくりびと」も見てみたいところだ。

【滝田洋二郎監督の主な映画作品】
1981「痴漢女教師」
 以降、86年まで成人映画の話題作を連発
1986「コミック雑誌なんかいらない!」
1988「木村家の人びと」
1990「病院へ行こう」
1992「僕らはみんな生きている」
1999「お受験」「秘密」
2001「陰陽師」
2002「壬生義士伝」
2005「阿修羅城の瞳」
2006「バッテリー」
2008「おくりびと」 

ZAKZAK 2009/02/24

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