ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン島根> 記事

「竹島の日」記念式典 松江で500人参加

2009年02月23日

写真

竹島を島根県に編入した当時の資料を見学する市民(中央)=松江市殿町の竹島資料室

写真

「独島は韓国固有の領土」などと書かれた横断幕をかかげ、竹島の領有権を主張する韓国の市民団体=松江市殿町の竹島資料室

◆中学解説書 記述を歓迎/指導要領で溝口知事 要望活動続ける◆

 4回目の「竹島の日」を迎えた22日、松江市殿町の県民会館であった記念式典では、昨夏公表された中学校の学習指導要領解説書に、初めて竹島が記述されたことを歓迎する声が目立った。一方、韓国の市民団体は抗議の横断幕を掲げ、式典会場一帯は小雨が降る中、領有権をめぐる双方の主張が激しく交錯した。

 県などが主催する記念式典は午後1時から始まり、約520人が出席した。溝口善兵衛知事は冒頭のあいさつで、中学校の学習指導要領解説書が「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ」と竹島に言及したことを歓迎し、「高校の指導要領や解説書にも記載されるよう要望活動を続ける」と述べた。

 解説書の記述をめぐっては、県と姉妹提携を結ぶ韓国・慶尚北道との間の教員相互派遣が中断するなど県内でも波紋が広がった。溝口知事は「自治体間の交流は領土問題と切り離して進めて行くべきだ。市町村レベルでの交流再開など、喜ばしい動きも広がってきている」とも語った。 

 午後2時からは、超党派の国会議員でつくる「日本の領土(竹島、尖閣諸島等)を守るため行動する議員連盟」会長の山谷えり子参院議員が講演。「領土問題に対してあやふやな態度では、国は存立できない」と主張し、政府の中に竹島問題を専門に扱う組織をつくるよう働きかけると説明した。

 県選出の国会議員は、国民新党の亀井久興衆院議員と亀井亜紀子参院議員が出席した。自民党の3人はいずれも秘書らが代理出席した。

◆写真や絵図など資料100点を展示/竹島資料室、市民ら閲覧◆

 「竹島の日」に合わせ、県は県庁内の竹島資料室で21日から、竹島関連の写真や絵図など約100点を展示した。

 今年は、1904(明治37)年に竹島編入を政府に願い出た隠岐の島町の水産業者、中井養三郎を写真などで紹介した。これがきっかけとなって政府は1905(明治38)年、閣議決定で竹島を県に編入した。資料室にはこのほか、竹島の編入を記載した県告示▽竹島の緯度や経度、面積などを記した県の台帳▽昭和初めごろの竹島近海のアシカ猟の様子を伝える写真や当時の朝日新聞の記事――も展示した。

 この日、資料室を訪れた出雲市湖陵町の馬庭将光さん(72)は「これだけの資料をよく集めたと感心した。日韓双方の議論を深めるうえで、資料室の存在は大きい」。同資料室の内田てるこ嘱託職員は「領土編入した当時の県の公文書から、竹島が日本固有の領土であることを伝えていきたい」と話した。

◆韓国の市民団体 抗議文渡す◆

 県警によると、松江市内では韓国の二つの市民団体が訪れたほか、日本の政治団体など34団体が街宣活動をした。県民会館や竹島資料室、JR松江駅前などで警備2課などの警察官約230人が警戒にあたった。

 資料室前の広場には午後1時前、竹島の日に合わせて毎年来日している韓国の市民団体「独島守護全国連帯」の崔在翼(チェ・ジェ・イク)・代表議長ら4人が姿を見せた。路上で抗議活動をしようとしたが、警察官らがもみ合いになりながら制止し、座り込もうとするメンバーを資料室へ移動させた。

 室内で4人は「独島は韓国固有の領土」と書かれた横断幕を掲げ、「日本は『独島(竹島)は日本領土』と中学校教科書に記述させようとしているが、撤回するべきだ」と主張。取り囲んだ県職員に県知事あての抗議文を手渡した。この間の約40分間、県警は資料室の立ち入りを規制し、無理に中へ入ろうとしたり、大声で叫んだりした男性らが、数人の警察官に取り囲まれる一幕もあった。

 一方、ソウル市の市民団体「独島守護隊」の金点劬(キム・ジョム・ク)代表(42)は式典に出席した。昨年は会場で冊子を配布しようとしたため、県の担当者が手荷物を確認して入場を認めた。金代表は「今年は講演を聞くつもりで来日した。日本側の歴史認識に対する反論を盛り込んだ報告書を作り、(韓国で)配布するつもりだ」と話していた。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり