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最終更新日: 2009-02-23 19:55:27
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2009年02月18日 10:35
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書評 『壬辰戦争ー16世紀日・朝・中の国際戦争』
鄭杜熙・李璟珣編著 金文子監訳 小幡倫裕訳

伝わる 歴史認識を正そうとする研究者の生新の気ー 評者=金両基

 馴染みのない表題から、難しい専門書のように感じるかも知れないが、歴史小説を読んでいるような幻覚に誘われるほど平易で、原書よりも訳書の方がわかりやすい。豊臣秀吉の朝鮮侵略はまぎれもなく戦争であるが、韓国では壬辰倭乱・丁酉再乱、日本では文禄慶長の役、中国では朝鮮を援護した戦という意味から援朝鮮や抗倭援朝などと呼び、三国での表現が違う。
 このような不統一な呼称を越えて、この戦いくさを東アジア三国の戦争という観点、視座から日本語版では「壬辰戦争」という表題をつけたという。「この戦争を東アジアで起こった国際的な戦争であるという観点から再構成」し、ナショナリズムや民族主義に傾斜しがちな歴史認識を正そうとする生新の気が伝わってくる。
 戦を韓国では「乱」というがそれは「乱ナン離リ」(世が乱れ、人が離散する)の略であり、日本での「役」は戦が民に労役を課したり、兵役に徴発するといったことから戦争の意味で遣われている。本書が提言しているように壬辰倭乱は内乱を越えた東アジア三国の戦争であった。
 「この戦争に勝利したと誇れる国は一つもない」という問題意識を共有した韓国の研究者を中心に「東アジア戦争史研究会」を結成し、韓日米の研究者が発表した論文を13章に編んだ。が、当事者国の一つである中国の研究者が参加していないのは何故か。
 晋州城での熾烈な攻防戦に登場する妓キ生セン(芸妓)の論ノン介ケが倭将を抱いて南江に投身自殺をとげる史実を巡る第3章「壬辰倭乱と妓生の記憶」の展開が面白い。韓国の教科書にも出るほど広く知られているが、それらは事実ではなく人々が語り継ぎ膨らませてきた「論介をめぐる記憶」だという。
 1950年代の朝鮮戦争の荒廃から国家の再建する過程で論介を国家のイデオロギー的装置として活用したと、歴史の国家的操作を指弾する。こうした指摘が各章に点在し、読者を歴史記憶の空間に誘ってゆく。
 朝鮮王朝は日本に連行された朝鮮人を連れ帰る(刷さっ還かん)ことを主要な目的として徳川家康の国交修交に応じ、回答兼刷還使(後の朝鮮通信使)を江戸に派遣したが、「刷還に執着したのは、あくまでそれが国家の体面に関わる問題」であった。「捕虜を憐れむがゆえ」ではなく、帰還した捕虜が幸せになったかどうかは「歴史の厚いヒダの中に埋もれた」まま、その後の消息は不明だという(「朝鮮侵略後における被虜人の本国送還について」)。
 さらに、救国の英雄李イ舜スン臣シン将軍の評価は時代とともに高くなったが、時の宣ソン祖ジョ王は将軍の貢献と評価を先送りにしていたという(「李舜臣に関する記憶の歴史と歴史化」)。
 (キム・ヤンギ 比較文化学者)   明石書店刊 定価6000円 (税別)

2009-02-18 6面
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記事: 統一日報社 (web@onekoreanews.net)  
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