2008年08月22日

◆ 陸地温暖化への対策

 温暖化の原因がわかれば、温暖化への対策もわかる。本項では、具体的な対策をいくつか示す。(それは炭酸ガスの削減ではない。むしろ水分蒸発量の増加だ。)

 ──

 前項では、温暖化について、次のように説明した。
 「地球全体が(炭酸ガスで)温暖化しているのではなく、陸地が温暖化しているだけだ。海洋の温暖化は、陸地の温暖化から、派生しただけにすぎない」


 そして、陸地の温暖化については、原因を次のように推定した。
 「陸地温暖化の原因は、(炭酸ガスの増加ではなく)水分蒸発量の減少である。特に、森林などの緑地が減少していることだ」


 原因がわかれば、対策もわかる。ただちに次のことが結論される。
 「陸地温暖化への対策は、水分蒸発量の増加である。特に、森林などの緑地を増加させことだ」


 こうして、「森林などの緑地の増加」という結論が得られた。
 このあとは、もう少し具体的に述べよう。

 ──

 (1) 樹種(針葉樹/広葉樹)(常緑樹/落葉樹)

 水分蒸発量の増加のためには、どのような樹種がいいだろうか? これには一応、次のように結論できる。
 「針葉樹よりも、広葉樹がいい。ただし、常緑広葉樹か落葉広葉樹かは、特に問わない。地域にふさわしいものでいい」

 単純に考えると、次のように思いがちだ。
 「水分蒸発量の増加のためには、落葉広葉樹がいい。なぜなら、落葉広葉樹が最も落葉量が多いからだ」
 しかしこれは、妥当ではない。実は、落葉量は、どのような樹種でもほとんど変わらないからだ。(成熟した森林では。)
  → 出典 (他にも同趣旨のサイトあり。)
   (理由はたぶん、葉の生産量は光合成量によって決まるから。)
 ただ、落葉量は同じでも、針葉樹の葉は分解しにくくて、土になりにくい。「虫も食わない」というようなものですかね。 (^^);
 というわけで、土になる前に流れてしまったりするので、腐葉土ができにくい。そのせいで、落葉量は保水量に比例しないのだ。だから、保水量を増やすためには、針葉樹よりも落葉樹の方がいい。
 また、気孔からの水分蒸発量では、針葉樹よりも広葉樹の方が上である。

 なお、常緑広葉樹と落葉広葉樹の違いは、「冬に光合成をするか否か」だろう。これは、夏の保水量には影響しない。
 むしろ、冬季には「日が射した方が地域が温暖化していい」とさえ言える。たとえば、冬季に都会の歩道を歩くなら、街路樹が常緑樹ならば木陰だらけで寒いが、街路樹が落葉樹ならば日が射して暖かい。となると「落葉樹の方がいい」と言えそうだ。
 とはいえ、公園あたりだと、葉のない木ばかりだと寂しいので、常緑樹もあった方がいい。
 というわけで、「針葉樹よりは広葉樹の方がいい」とは言えるが、「常緑樹か落葉樹か」は一概には言えないわけだ。

( ※ 広葉樹には、別の効果もある。土壌が腐葉土になりやすいので、河川に流れる水が栄養豊かになる。そのせいで、河口の先にある海が栄養豊かになり、植物プランクトンが増えるので、好漁場になる。植物プランクトンが増えるということは、その分、炭酸ガスの吸収の効果もあることになる。)

 (2) 森林と草(穀物)

 森林と草のどちらがいいか、と言えば、森林の方がいいに決まっている。保水量が圧倒的に豊かだからだ。
 森林では、日の射す樹頂では光合成が行なわれているが、日の射さない下方では光合成は行なわれない。一見、無駄のようだが、別に、無駄でも何でもない。もともと一定の面積に降りかかる光の量は同じだから、どっちみち光合成の量はたいして変わらない。(だから樹種による落葉量の差もない。前述。)
 ただ、光合成のことを離れて、水分蒸発量を考えれば、森林と草では大幅に異なる。森林では、下の陰になったあたりに、水分がたっぷりとある。樹幹や樹葉や土壌がたっぷりと水分を含む。だから、たとえ雨が降らなくても、水分蒸発量はほぼ一定に保たれる。一方、草では、違う。草地にたまる水分の量は少ない。雨が降った直後には水がたっぷりあるが、その水はかなりの部分が流出してしまう。その後、一日ぐらいは水分が保たれても、しばらく日照りが続くと、水分がなくなって、水分蒸発量は激減する。
 実際、芝生のような短い草しか生えていない草地では、保水量が少ないから、水分蒸発量も少なくて、地面の温度の変動も大きい。というわけで、草は森林ほどの効果はないのだ。

 では、穀物はどうか? 穀物ならば、かなり多くの水分蒸発量がある。ただし、注意。そのためには、大量の水を人為的に供給する必要があるのだ。つまり、潅漑だ。トウモロコシ畑であれ、小麦畑であれ、豊かな緑が青々とひろがっているが、そこでは大量の水を人為的に供給する必要がある。もしそれができなくなれば、その畑は砂漠化してしまう。
 人為的な潅漑というのは、ある程度までは有効だが、いずれは頭打ちになる。実際、米国の穀倉地帯では、地下水の枯渇による畑の荒廃が起こりつつある。中国でも、黄河や揚子江の枯渇による畑の荒廃が起こりつつある。豪州でも、潅漑のせいで河川の水量が減って、河口の干潟が乾燥して、豊かな湿地の環境が破壊されている、ということがある。日本だって、田畑が限られているうちはいいが、「自給率の向上」をめざして田畑を増やせば、水が足りなくなって、人間様の飲める水が不足してしまう。(北九州では実際に水不足が起こった。)
 要するに、「大量の水を人為的に供給する」という方法は、早晩行き詰まるのだ。だから、「人為的に水を供給するのではなく、自然が自立的に雨水ゆえに保水量を保つ」というふうにする必要がある。そして、そのためには、「穀物ではなく森林」という方針を取る必要がある。
 地球温暖化説(炭酸ガス説)を信じる人だと、次のように思うだろう。
 「穀物だって森林だって、炭酸ガスの吸収量は大差ない。むしろ穀物の方が炭酸ガスの吸収量は多い」
 しかし、そういう発想は、妥当ではない。大事なのは、炭酸ガスの吸収量ではなくて、(雨水の)保水量なのである。

( ※ この点からしても、バイオエタノールという方針は妥当ではない、とわかる。「アマゾンの森林を伐採して、サトウキビ畑にして、バイオエタノールを生産しよう」という方針を取れば取るほど、地球温暖化はかえって進んでしまうのだ。保水量の減少を招くがゆえに。)

 (3) 屋上緑化

 屋上緑化という方針が取られることがある。このこと自体は、特に問題ない。ただし、「緑化さえすれば、猫でも杓子でも構わない」という方針は、あまりにも無定見に過ぎる。
 屋上というものは、「色が緑になればいい」というものではない。また、「炭酸ガスを吸収すればいい」というものでもない。大事なのは、保水量だ。
 とすれば、芝生やサボテンのような緑化をしても、たいして意味がないことになる。それよりは、たっぷりと水分を含むような、豊かな葉をもつ植物を植えるべきだ。
 できれば広葉樹にしたいところだが、それだと屋上に乗っかる重さが大きくなりすぎて、建築上の問題が出てしまいそうだ。そこで、とりあえずは、「葉っぱの豊かな植物」という方針を取るといい。
 私としては、「屋上菜園」をお勧めしたい。きれいな花壇を作るかわりに、レタスかキャベツかサツマイモのような農作物を栽培する。( → 太陽電池と緑化 [ 付記3 ]にも同趣旨。)
 なぜ農作物がいいかというと、収穫を期待して、せっせと水をやる気になるからだ。また、なぜレタスかキャベツかサツマイモがいいかというと、豊かな葉っぱがあるからだ。
   → レタス畑キャベツ畑サツマイモ畑
 これじゃあまりにも見映えが悪いというのなら、一般の観葉植物でもいい。鉢植えの観葉植物ならばよく見るが、そういうようなものを屋上に植えるわけだ。(ただし、見映えがいい分、栽培するにしても費用はとても高い。キャベツならば激安だが。また、レタスならば大量に食べることが可能だが、大量の観葉植物はたぶんゴミにしかならない。)

 現在、かなりよく普及しているのは、セダム植物だ。安価に屋上緑化ができて、手間もかからないからだ。しかしこれは、水分蒸発量がごく少ないので、こんなものを敷設したとしても、たいして効果はない。「屋上緑化をしています」と名ばかりの宣伝をしているだけだ。
 それでも自治体は、こういう屋上緑化のために、数十万円もの補助金を与えることがある。馬鹿げた話だ。「保水量」という概念がないせいで、名ばかりの「屋上緑化」に大金を投じる。それで実現したことと言えば、屋上に緑のペンキを塗ったのと大差ないのだが。
 はっきり言って、セダム植物で屋上緑化するくらいなら、屋根を白いペンキで塗った方がずっといい。それなら太陽光を反射するので、陸地温暖化の効果を確実に減らせる。それでいて、コストは激安である。
 現実には、黒っぽい屋根がよくある。だが、これは最悪だ。さっさと白っぽく塗り替えてしまいたくなる。もしくは「黒屋根税」という税金をかけてしまいたい。

( ※ なお、保水量だけなら、スポンジのような人工物でも済むかもしれない。しかし、人工物は劣化するから、交換などの手入れが大変だ。その点、植物ならば、成長とともに刈ってしまえばいいから、問題ない。その点でも、農作物はベストだろう。野菜の収穫が得られるから、実質的なコストはかなり減少する。)


 (4) 太陽電池

 太陽電池は、最悪である。なぜなら、真っ黒であるがゆえに、太陽熱を多大に吸収するからだ。それよりはむしろ、屋根に白いペンキを塗る方がいい。そっちの方がコストは激安で、効果もずっと多い。
 地球温暖化論者は、「太陽電池がいい」と主張する。その理由は、「炭酸ガスの減少に役立つから」だ。(火力発電所の発電量を減らせるので。)
 しかし、温暖化の理由は、炭酸ガスの増加ではない。とすれば、炭酸ガスの減少など、いくらやっても、たいして意味がないことになる。
 それよりは、陸地温暖化(特に水分蒸発量の低下)が問題だ。太陽電池について言えば、次のように言える。
  ・ 屋上緑化に比べれば、水分蒸発量はゼロである。
  ・ 白ペンキに比べれば、屋根の高温化で陸地温暖化が起こる。

 というわけで、太陽電池は、屋上緑化や白ペンキに比べて、圧倒的に劣る。しかも、コストは圧倒的に多い。……これじゃ、ただの無駄だ。(百害あって一利なし、というようなもの。それほどひどくはないが。)
 要するに、「炭酸ガスの減少こそ大切だ」という誤った説にとらわれると、「太陽電池で地球温暖化を阻止できる」と信じたあげく、一家庭あたり数百万円もの多額の金を投じて、その結果、温暖化が減るどころか、かえって温暖化が進んでしまうのだ。(太陽電池の部分が黒くなり、そこで高温化が起こるので。なお、「太陽電池は真っ黒だ」という点に留意。)

 (5) 緑のカーテン(植物スダレ)
 (6) 雨水タンク


 これらについては、次項・次々項で示す。そちらを参照。

 ──

 結語。

 ま、いろいろあるが、「水分蒸発量の増加」というのがポイント。あと、「直射日光による高温化を避ける」ということも大事だ。一方、「炭酸ガスの削減」はあまり関係ない。
 全般的に言えば、ガソリンや電力を節約する(省エネする)ことが大切なのではなくて、地球規模であちこちで森林を増やすことが大切だ。特に身近なところでは、庭や屋上などに植物を増やすことが大切だ。

( ※ なるほど、ベランダに観葉植物を一つ増やしたところで、たいして違いはない。だが、それは太陽電池で腕時計を動かしても、たいして変わらないのと、同様だろう。)
( ※ それでも、観葉植物を置けば、気分はよくなる。そうして自然に親しむことが、一番大切なことなのかもしれない。自然を愛するために。)



 【 関連項目 】
  → 陸地温暖化説 (前項)
  → 地球緑化計画 (サハラ砂漠の緑化など)

 
posted by 管理人 at 21:19 | Comment(1) | エネルギー・環境2
この記事へのコメント
都市部のヒートアイランド対策として、ビルの屋上緑化が流行していますが、ビルの屋上に深さ10〜20センチほどの水を常時張るようにするだけで、屋上緑化よりも高い効果が得られると思います。
それにビルの屋上は、元々止水処理が施されているので、ビルの屋上に水を張るための設備投資は、水位調節機能を備えた給排水設備を導入する程度で済むので、意外と一気に普及すると思います。
Posted by スパイラルドラゴン at 2008年09月06日 18:22
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