ニュース: 生活 RSS feed
【主張】柏崎刈羽原発 運転再開を着実に急ごう
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所7号機の運転再開が注目されている。同原子力発電所は、平成19年7月に起きた新潟県中越沖地震で被災し、計7基の原子炉すべてが止まったままである。
東電は地震直後から約1年半にわたって各原子炉や発電機をはじめとする設備について、損傷の有無やその程度の確認作業を続けてきた。地震の影響が最も少なかったのが7号機で、耐震補強工事も終えている。
7号機の運転を円滑に再開し、旧に復すべきであろう。柏崎市による緊急使用停止命令も7号機については解除されている。経済産業省の原子力安全・保安院も7号機の起動について安全上の問題はないと判断した。この問題を検討した調査・対策委員会の議論を踏まえての結論だ。
後は地元の了解を待つだけの段階である。住民の納得と並んで、刈羽村、柏崎市、新潟県の判断が今後の進捗(しんちょく)を左右する。
7号機の運転再開は、試運転から始まって問題がなければ営業運転に移る。そのための第一歩が懸案の原子炉起動である。
中越沖地震の揺れに対して稼働中の原子炉は、速やかに自動停止した。「止める」「冷やす」「閉じ込める」の3機能はしっかり働いて、安全の基本は保たれた。
にもかかわらず、長期停止という事態を招いてしまった。その一因は、黒煙を伴った火事の放置と安全情報の周知の遅れにあった。また、設計時の予想をはるかに上回る強い地震の揺れが発電所を襲ったことも大きく影響した。
前者は、自衛消防隊や情報発信力の強化で対応するよう改善された。後者については、強度に余裕を持たせていた工事によって無事であったし、揺れに一段と強くする耐震補強工事を施すことで対応している。
また、心強いことには、国際原子力機関(IAEA)によっても柏崎刈羽原子力発電所全般の安全性が確認され、7号機に損傷が生じていないことなどを認める報告書が出されたところである。
新潟県は地震後にIAEAによる調査を要請した。その調査団のお墨付きである。県にとって何よりの安心材料となるはずだ。これを活用しない手はないだろう。原子力発電が再開されると二酸化炭素の排出も減る。この観点からも着実な復旧への歩みを望みたい。まずは7号機からである。