景気対策を巡っての議論は低調過ぎる。
定額給付金は景気拡大に役に立つのか?
麻生総理が「自民党以外には景気対策が出来ない」と発言すれば、小沢一郎民主党代表は「問責決議案提出」を臭わせるなど、不況の深刻化をよそに政治家だけがヒートアップしています。
麻生総理は22日に青森で会見し定額給付金の財源を確保する第二次関連法案が未だに参院を通過していないことが、景気対策の遅れにつながっていると指摘した。
民主党の側もこの点は気にしているようで、同日山岡賢次国会対策委員長が審議の引き延ばしはしないで年度内の成立を容認すると発言しました。
小泉元首相は定額給付金を支給するための予算関連法案の衆院再議決に疑義を呈して、欠席すると述べるなどこの問題は複雑な様相を見せています。
ご存知のようにこの定額給付金は公明党が推進してきた法案でありますが、勿論麻生政権が全責任を持つものです。ばら撒き策だとの批判はありますが、政治家の多くはこれに賛同しています。
では、果たしてこの定額給付金なるものが景気の回復に役立つのでしょうか。また、この政策には問題点はないのでしょうか?この点に関しては議論が深まっていたとは感じられません。
不景気とはモノが売れないために起きるものです。いわゆる買え控えというものですが、モノが売れないというのはモノが買えないくらい困窮状態に置かれた場合。
或いは心理的にこれから益々苦しくなるので、モノをなるべく買わないように控えるという場合の二つのケースに考えられます。モノが買えないくらいに困窮している人には、このような給付金は役に立つでしょう。
つまり、このような人達に給付されたお金は消費に回ると考えられます。でもそれほど困窮している人が多いとは思われませんし、そのような人には定額給付金では間に合いません。
このような人とは別に将来への不安を抱く人々ですが、果たしてこの給付金を直ぐに消費に回すでしょうか?貯蓄に回る可能性の方が高いとも考えられます。無駄遣いはしないということになるのではないでしょうか。
景気対策については企業側とそこで働く労働者側でも大きく違います。労働者側は給料を上げてもらえば、その分消費拡大につながるので景気はよくなると主張します。
企業側は設備投資をして生産量を高めたり、新しい技術開発に乗り出すことが第一で、労働者の賃上げはその後にすべきであると主張します。特に不況のときは他の企業との競争力を考えて企業はそのような選択をします。
どうも企業家と労働者側の主張は平行線のようです。では、この政府が実施しようとする定額給付金はどうなのか?
>労働者側が主張する給料を上げれば、その分消費の拡大につながる。
この考えとかなり一致するものと思います。確かにそれも間違いとは思いません。しかし、企業家側が唱える設備投資や新技術の開発などには消極的なことになります。
庶民に金をばら撒き、それを使って頂く事で景気回復を目指すということも分かりますが、その資金を集中的にある分野に投資することによって日本の将来に備えるということを何故考えないのか?
例えば、自給率が30%台の食料生産に関して、耕作放棄地の再生の為に集中投資して雇用を確保する。それは自給率の向上にもつながる。或いは新しいエネルギーの開発に巨額の投資を行なう。
そういうことを論議するのが国会ではないのでしょうか?庶民への給付金のばら撒きは、これは地方議会のレベルでの話であると感じます。
景気回復の為に定額給付金はあるといいますが、その財源は税金でしかも借金でしょう。そのツケを今度は消費税の値上げということで払わさせられる。
そのことをもっと真剣に議論すべきです。消費拡大に必ずしもつながるなどと専門家は思っていないのではないか。本当のところはどうなのか?余りにも不透明すぎると感じたしだいです。
〜新風連ブログ〜