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県予算のゆくえ:/下 文化 県美ホール評価に疑問 /青森

 昨年、青森市の三内丸山遺跡を含む「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」が世界文化遺産登録に向けた国内候補の暫定リスト入りを果たした。遺産登録への第一歩となるものだが、世界文化遺産特別委は「今の提案内容では国際的評価を得る上で不十分。顕著な普遍的価値の確実な証明と、資産構成の整理などが必要」と指摘している。

 県は課題を克服して登録を実現するため、新年度予算案に「あおもりJOMONステップアップ事業」(2370万円)など計4033万円を計上。英国・ロンドンでの縄文遺跡群の専門家向け説明会や、関係4道県の連携による展示会の開催など、国内外で縄文文化への理解と評価を高めてもらおうとしている。

     ◇

 一方、来年度で開館4年目を迎える同市の県立美術館の新年度予算案は7億6934万円。同館の佐藤直樹事務局長は「新年度は、東北新幹線新青森駅開業で節目となる10年度の準備の年」と位置付けている。

 新年度は▽ウィーン美術史美術館展(4月11日~6月14日)▽三戸出身の漫画家・馬場のぼる展(7月29日~9月6日)▽美術とそれ以外のジャンルの作品を対比して見せる現代アートの展覧会「ラブラブショー展」(12月12日~10年2月14日)に加え、特別展として太宰治の生誕100年記念展(7月11日~9月6日)もある。

 また注目されるのが「アレコホールコンサート東アジアステイタス戦略事業」(1435万円)。県は「同美術館にある巨大スペース・アレコホールでの演奏会が一つのステータスになり、常に80%を超える集客を維持している」と評価。今後、東アジアの拠点施設を目指して海外から演奏家を招くなど多彩なジャンルのコンサートを開き、国内外に発信しようとしている。

 確かに、15億円の巨費を投じて購入したシャガールの舞台背景画「アレコ」を活用してアピールすることは大切だが、定員わずか150人の演奏会に120人が来場する状況を「盛況」ととらえ、「東アジアの拠点」を目指すのはいささか短絡的に思える。むしろ美術館としての「本来業務」に人も予算も集中し、基礎固めを図る時期ではないか。新幹線延伸で節目となる10年度は、県美の真価が問われる。【野宮珠里】

毎日新聞 2009年2月22日 地方版

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