夕方、スーパーで総菜コーナーをのぞいていると、突然店員の周りに人だかりができる。売れ残りそうな食品に割引シールを張りに来たからだ。
 二割引き、四割引き、さらに時間がたてば半額になり、刺し身や弁当がたちまち売れてしまう。買い物上手の人は、ちゃんとこの時間を見計らっているようだ。
 売れ残ってしまうと大半は捨てられてしまう食品だが、値引き販売すれば買い物客の財布のひもも緩み、店の利益にもつながるだろう。なにより、膨大な食品廃棄を減らせるメリットがある。
 公正取引委員会は、コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンが、加盟店に消費期限の迫ったおにぎりなどを値引き販売するのを制限したとして独禁法違反容疑で調査を始めた。二十四時間営業のコンビニはスーパーと異なるなど言い分はあるだろう。
 しかし、忘れてならないのは、食品ロスが増え続けている現実である。飢餓で苦しむ国がある一方で、飽食の国である日本の食品産業は毎年一千万トン以上もの生ごみや食べ残しを捨てている。
 何と「もったいない」ことだろう。業界も消費者も減量へ向けて一層の努力が必要である。ノーベル平和賞の受賞者で、ケニアの環境活動家マータイさんが感銘を受けた言葉を死語にしてはなるまい。