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ロシアバレエの美を結集 「舞台芸術の世界」展

2007年08月24日

 20世紀初頭、ロシアの前衛的な舞台芸術が、ヨーロッパを驚かせた。その粋を紹介する展覧会「舞台芸術の世界 ―ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」が、東京都庭園美術館(港区白金台5丁目)で開催中だ。斬新でエキゾチックな、バレエ・リュス(ロシアバレエ団)のデザイン画や衣装が目を奪う。(アサヒ・コム編集部)

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ナタリア・ゴンチャロワ 舞台デザイン(オペラ=バレエ『金鶏』より)1914年 ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館蔵 Nathalia Goncharova; ⓒADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2007 / Victoria and Albert Museum, London

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レオン・バクスト ワツラフ・ニジンスキーのための衣装デザイン(上演されなかったバレエ『ペリ』より)1911年 Coll. Professor Stavrovski, New York

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レオン・バクスト ミハイル・フォーキンのための「アムーン」の衣装(バレエ『エジプトの夜』より)  1908年初演のために制作 サンクトペテルブルク国立演劇音楽博物館蔵 ⓒTexts, photos, The State Museum of Theatre and Music, St. Petersburg, 2007

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「金の奴隷」に扮するワツラフ・ニジンスキー(バレエ『シェエラザード』より) エミール・オットー・ホッペ 『バレエ・リュス写真集』 ファイン・アート・ソサエティー(イギリス)刊 1913年頃 兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクション Emil Otto Hoppé; Droit Réservé

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館内の随所で、色鮮やかな舞台衣装に出会える。 レオン・バクスト 男性の衣装(バレエ『シェエラザード』より) 1910年パリ・オペラ座上演のために制作 サンクトペテルブルク国立演劇音楽博物館蔵 ⓒTexts, photos, The State Museum of Theatre and Music, St. Petersburg, 2007

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ダイヤ柄衣装の展示を発見。 レオン・バクスト ミハイル・フォーキンのための「アルルカン」の衣装(バレエ『カルナヴァル』より) 1911年サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場上演のために制作 サンクトペテルブルク国立演劇音楽博物館蔵 ⓒTexts, photos, The State Museum of Theatre and Music, St. Petersburg, 2007

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ポスターやプログラム、舞踊家たちの肖像画も見ることができる。 左側は、アナトーリー・ペトリツキー 衣装デザイン(オペラ『イーゴリ公』より)1926年 Coll. Professor Stavrovski, New York 右側は、セルジュ・チェホーニン(セルゲイ・チェホーニン) ヴェラ・ネムチノワのバレエ・リュスのためのプログラム表紙デザイン 制作年不詳 ルネ・ゲラ蔵、パリ

 バレエ・リュスは当時、ファッション界にもブームを巻き起こした。カリスマ的芸術プロデューサー、ディアギレフが1909―29年に主宰。天才舞踊家ニジンスキーらを擁し、パリを拠点に活動した。主なレパートリーに「火の鳥」「ペトルーシュカ」「シェエラザード」などがあるが、中でも、「牧神の午後」の衣装はデザイナーたちを刺激し、「豹(ひょう)柄」のモチーフが生まれたといわれる。

 今回の展示では扱っていないが、バレエ・リュスは、後期にピカソ、マティスらが舞台にかかわったことでも有名だ。

 展示作品は、ニューヨーク、パリ、ロンドンやサンクトペテルブルク、日本国内から集められた約190点。ユニークなのは、仕立ての指示が書き込まれたデザイン画。実物の生地見本付きだ。演者が実際に着た衣装もあり、オペラ歌手シャリアピンの「ボリス・ゴドゥノフ」の衣装は、胸板の厚い堂々たる姿を彷彿(ほうふつ)とさせる。

 個人コレクション中心のためか、作品を縁取る額にも様々な表情があった。美術館のアール・デコ様式の内装とあわせて鑑賞するのも、一つの楽しみ方かもしれない。

 同館おなじみの「ドレスコード割引」も実施中。来館者に展示に参加してもらう試みで、赤い靴で来館すると「バレリーナ割引」、ダイヤ柄の服装で来館すると「アルルカン割引」がある。

 9月17日まで。第2・第4水曜休館。一般1000円、大学生800円、小・中・高校生と65歳以上500円。

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