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Commons:2009.2.19 from田中良紹

「ハ・ズ・カ・シ・イ」(上)

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2月17日の記者会見で中川昭一財務金融大臣が「けじめをつけるため予算が成立した時点で辞表を提出する」と言った時、私はまた酔っぱらって会見しているのかと思った。辻褄の合わない事を平気で発言したからである。

辞める理由は何なのか。醜態をさらした事で辞めるなら予算を絡める話にならない。体調不良が理由なら、本人が予算審議を続ける事は出来ないから、辞めない限り予算は成立しない。「予算成立後に辞める」というのはどこから見ても理屈にならない。理屈にならない事を言うのは麻生内閣がなりふり構わず「予算を成立させたい」からである。しかし予算は「公」のもので、醜態や体調不良で辞めるのは「私」の問題だ。それを秤にかけようとするところに政治の堕落がある。「公」と「私」の区別がつかない政治は、ローマでの醜態以上に「ハ・ズ・カ・シ・イ」。

その日、アメリカのクリントン国務長官が来日していた。メディアは朝から「アジア歴訪の最初の国に日本を選んだことは日本重視の表れだ」と報じていた。世の中で複数の人間と交渉をする時、一番大事な交渉相手と真っ先に会う人はいない。その他の人の話をすべて聞いた後で一番大事な相手と交渉する。外交も同じである。国務長官は最後に中国に行くが、それならアメリカが最重要と考える相手は中国である。

そう言うと日本では「日本軽視だ」と憤るバカがいる。日本は同盟国で、中国は仮想敵国なのにおかしいとバカは憤る。しかし同盟国だから大事にされる道理はない。自国の利益をいかに守るかが外交である。自国に脅威を与える国は最重要だが、脅威を与えない国は眼中にない。当たり前の話だ。日本が「最初に来てくれ」と言うから最初に来て、「日米関係は重要」と発言すれば日本が喜ぶから言って見せた。それは日本政府に貸しを作る事になる。

いずれにしても日本がアメリカから重視されようが、されまいが、そんな事のどこが問題なのかが私には分からない。大事なことは日本が世界でどう生きていくかを自分の頭で考える事だ。他人の視線ばかり気にする人間が周りからバカにされるように、アメリカの視線を気にする日本はアメリカからバカにされる。にもかかわらず「最初に訪問したのは日本重視の表れ」と喜んでいる日本人は本当に「ハ・ズ・カ・シ・イ」。










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THE JOURNAL

田中良紹
田中良紹
(ジャーナリスト)

1945年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同年(株)東京放送(TBS)入社。

ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。

1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。 「国会探検」のほかの記事を見る



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