22日午後5時40分ごろ福岡市中央区六本松1のNHK福岡放送局の警備員から「爆発音がして煙が玄関ホールに充満している」と110番があった。福岡県警中央署員らが駆け付けると、卓上コンロのカセットボンベの破片らしきものが散乱しドア近くに液体の入ったポリタンクが残っていた。天井が破損したが、けが人はなかった。同署は、現住建造物等放火未遂の疑いがあるとみて捜査している。
同局の防犯カメラに爆発直前、黒い上着の若い男が東玄関から入って所持品を置き別の玄関から立ち去った様子が映っており、同署が関連を調べている。
同署によると、ポリタンクは5~6リットル入りの大きさ。つぎ口に長い布のようなものが導火線のように差し入れられていた。周囲には手提げバッグの破片もあった。二重ドアになっている東側玄関の1、2枚目のドアの間に置かれていた。ガソリンのようなにおいがしたとされ、内容物の分析を進める。
同ビルに入るNHK福岡放送局広報によると「ボン」という爆発音が聞こえ、火災報知機が作動。正面玄関近くの警備員や職員が駆け付けたところ、1階ロビーに灰色の煙が立ちこめていた。
局内では当時、報道や番組編集など50~60人が勤務していたとみられる。永徳一成・広報副部長は「3階まで音が聞こえた」と話した。1階正面玄関受付には女性職員2人がいたが共に特に不審人物には気付かなかったといい、爆発音を聞いてとっさに受付カウンター下に身を隠したという。
同放送局1階出入り口は、正面と東西の3カ所に防犯カメラが設置されている。西側は職員らの通用口で、正面と東側の2カ所を見学客らが利用しており午前9時から午後6時半まで出入りが可能という。
また事前の爆破予告や脅迫めいた電話、不審人物の出入りについて永徳副部長は「全くなかった」と話した。【門田陽介、和田武士】
毎日新聞 2009年2月22日 20時45分(最終更新 2月22日 20時49分)