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グッズでPR/竹島問題 身近に

2009年02月21日

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竹島をかたどった黒曜石の商品(手前)をつくった八幡昭三さん=隠岐の島町久見

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竹島の形を模したまんじゅう「竹島ものがたり」

◆黒曜石の小物・まんじゅう…/明日「竹島の日」式典会場で販売◆

 日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)問題で日本側の主張をPRしようと、まんじゅうや日本酒、黒曜石のストラップなど、竹島にちなんだ商品が続々登場している。県は啓発活動の一環として、「竹島の日」の22日、記念式典を開く松江市殿町の県民会館に販売コーナーを設ける。(玉置太郎)

 隠岐の島町竹島官有無番地――。日本政府が主張する竹島の住所だ。竹島から約157キロ南東にある隠岐の島の北端、同町久見地区で黒曜石の加工販売業を営む八幡昭三さん(80)は、県の勧めで07年から、啓発用の竹島グッズをつくっている。

 竹島に見立てて三角形に削ったアワビの貝殻を、近くの山で採掘した黒曜石でつくったストラップやタイピン、ペン立てなどにはめ込む。地元の漁師がかつて竹島から持ち帰った石も、細かく砕いてはり付ける。

 八幡さんの叔父、伊三郎さんは、1933〜38年にかけて竹島で漁をした。島に小屋を建てて春と秋に約1カ月ずつ滞在し、主にアワビを採ったりアシカを捕獲したりしたという。

 88年に亡くなった伊三郎さんは、アワビの漁場や島内の洞穴を詳細に記した手書きの竹島の地図や、漁獲量を記録した日誌をのこした。アワビは多い日で1日700キロ以上も採れたという。漁協の組合長を務めたこともある八幡さんは「久見の漁民にとって竹島は生活の中にあった宝の島。もういっぺん、自由に行ける日が来てほしい」と話す。

 22日は式典会場に約400個を用意し、「一人でも多くの人が竹島に思いをはせてほしい」と願いながら自ら販売する予定だ。

    ■   ■

 一方、別の立場から発売された東京発の商品もある。
 かつて小泉純一郎元首相を模した「純ちゃんまんじゅう」で話題を呼んだ菓子製造会社「大藤」(東京都)は06年8月、日本国旗のつまようじ付きの焼きまんじゅう「竹島ものがたり」(12個入り)を発売。これまでに約1万個が売れたという。

 特許庁は06年12月、同社が申請した「竹島ものがたり」の商標登録を「公の秩序に関する懸念がある」として認めなかった。これに対し、「領土問題を理由に拒絶するのはおかしい」などの抗議が特許庁に寄せられ、再審査の結果、07年2月に一転して登録を認めた。同庁総務課の担当者は「政治的な背景を抜きにして商標そのものを審査するべきだと判断した」と話す。

 「商品を店頭に置いて問題になったら困る」(松江市内の業者)との声もあり、現在は隠岐の島、西ノ島、海士の3町以外では販売していない。大久保俊男社長(61)は「政治的な意図はない。竹島の場所を多くの人が知り、まんじゅうが島根の名物になってくれればいい」と話す。

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 県と県物産協会は昨年、記念式典の会場に初めて竹島グッズの販売コーナーを設けた。黒曜石製品とまんじゅう、ラベルに竹島の絵と「かえれ島と海」の文字を印刷した都錦酒造(江津市)の日本酒「竹島」を販売した。今年は、漆で竹島を描いた松江市の伝統工芸「八雲塗」の写真立てや名刺入れと、パッケージに「日本國竹島」と書いた吉賀町産の米が加わる。

 県のアンテナショップ「にほんばし島根館」(東京都)も22日、竹島グッズの展示・販売コーナーを設ける。溝口善兵衛知事は「竹島問題を国民に理解してもらうためには、県内から発信していくことが必要。竹島グッズが問題を身近に感じてもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。

★キーワード★

 竹島の日 1905年2月22日に県が竹島の帰属を告示して100年になるのを記念し、県が05年3月に条例で定めた。竹島を実効支配する韓国側は反発し、全国で市民交流の中止が相次いだ。県は毎年2月22日前後に、研究者や国会議員を招いた記念式典を開いている。

 国が昨年7月、中学校の学習指導要領解説書に初めて竹島問題を盛り込んだことで問題が再燃。韓国政府は駐日韓国大使を一時、呼び戻した。

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