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コンプライアンスと法令遵守
小倉秀夫氏はこう書いている：
建築確認は木造の建物の安全性を確認するためにできた制度で、現在の複雑な建築物の耐震性を図面だけで確認することはできない。実際の問題の大部分は、手抜き工事などの施工段階で起こるからだ。姉歯元建築士の設計した建物は「震度5で倒壊する」とされて取り壊されたが、同じ論法でいけば、1981年の建築基準法改正以前の建物は、みんな取り壊さなければならない。しかし役所もメディアも、それは問題にしない。震度5でコンクリートの建物が倒壊した事件はほとんどないからだ。
つまり建築基準法に違反することは「大震災のときにはあっさり崩壊する」ことを意味しないのだ。国交省がそれを摘発したのは、法律に違反するからであり、メディアが集中攻撃したのも、耐震データの偽造という明白な違法行為を本人が認めたからだ。役所やメディアが攻撃するのは、実質的な安全性ではなく手続き的な違法性なのである。
これは心理的には当然だ。官僚もジャーナリストも、建築についての専門知識はもっていないので、ある建築が安全かどうかを判断することはできないが、違法性を判断するのは簡単だ。昔は一方的な情報でスキャンダル報道をしたが、三浦和義が起こした大量の名誉毀損訴訟でメディアが連敗し、強制捜査が行なわれるまでは犯罪者扱いしないというルールが確立した。これ自体はいいことなのだが、こうした原則を拡大すると、非公式の情報による調査報道はほとんどできなくなり、警察が立件した事件に報道が集中する結果になる。
このように違法ではないが重要な問題が放置され、どうでもいい違法行為が摘発されることで企業が「思考停止」し、形式的な法令遵守に多くの労力がさかれ、法務部の発言力が社長より強まっている。それをいいことにメディアは、一連の食品偽装事件のように「改竄」や「捏造」があると、実質的な安全性に関係なく大騒ぎする。この負のループを断ち切らないと、日本はいつまでも「官製不況」から脱却できないだろう。そのためには郷原氏もいうように、法律を視野の狭い法律家から解放し、一般市民が健全な常識にもとづいて法を運用できるような規制改革が必要である。
建築基準法を改正せず，「粗悪な建築がなされ，大震災のときにはあっさり崩壊するような建物が建つかも知れないけど，それって自己責任だよね」ってことで放置しておいた場合に，「よくわかんないけど，地震で倒れたらその時に考えればいいや。数千万円から数億円の買い物で色々考えるのは面倒くさいから，買っちゃえ！」という消費者がそんなにたくさんいただろうかと考えると，それも楽観的にすぎるのではないかという気がします。彼は建築基準法に違反すると「大震災のときにはあっさり崩壊する」というメディアの宣伝を素朴に信じているらしいが、これは郷原信郎氏のいう実質的なコンプライアンスと形式的な法令遵守の混同の典型である。
建築確認は木造の建物の安全性を確認するためにできた制度で、現在の複雑な建築物の耐震性を図面だけで確認することはできない。実際の問題の大部分は、手抜き工事などの施工段階で起こるからだ。姉歯元建築士の設計した建物は「震度5で倒壊する」とされて取り壊されたが、同じ論法でいけば、1981年の建築基準法改正以前の建物は、みんな取り壊さなければならない。しかし役所もメディアも、それは問題にしない。震度5でコンクリートの建物が倒壊した事件はほとんどないからだ。
つまり建築基準法に違反することは「大震災のときにはあっさり崩壊する」ことを意味しないのだ。国交省がそれを摘発したのは、法律に違反するからであり、メディアが集中攻撃したのも、耐震データの偽造という明白な違法行為を本人が認めたからだ。役所やメディアが攻撃するのは、実質的な安全性ではなく手続き的な違法性なのである。
これは心理的には当然だ。官僚もジャーナリストも、建築についての専門知識はもっていないので、ある建築が安全かどうかを判断することはできないが、違法性を判断するのは簡単だ。昔は一方的な情報でスキャンダル報道をしたが、三浦和義が起こした大量の名誉毀損訴訟でメディアが連敗し、強制捜査が行なわれるまでは犯罪者扱いしないというルールが確立した。これ自体はいいことなのだが、こうした原則を拡大すると、非公式の情報による調査報道はほとんどできなくなり、警察が立件した事件に報道が集中する結果になる。
このように違法ではないが重要な問題が放置され、どうでもいい違法行為が摘発されることで企業が「思考停止」し、形式的な法令遵守に多くの労力がさかれ、法務部の発言力が社長より強まっている。それをいいことにメディアは、一連の食品偽装事件のように「改竄」や「捏造」があると、実質的な安全性に関係なく大騒ぎする。この負のループを断ち切らないと、日本はいつまでも「官製不況」から脱却できないだろう。そのためには郷原氏もいうように、法律を視野の狭い法律家から解放し、一般市民が健全な常識にもとづいて法を運用できるような規制改革が必要である。
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小倉先生の示されている数値では、新規着工が元に戻っているとは言えないですね。単純計算しても前々年比で2ケタのマイナスです。
むこうではコメントが反映されないようなので、こちらにて失礼しました。
>>同じ論法でいけば、1981年の建築基準法改正以前の>>建物は、みんな取り壊さなければならない。
法改正後に建てられ、その法に違反している建物（姉歯元建築士の建物）
と
法改正前に建てられ、その改正によって違反になった建物（1981年の法改正以前に建物）
を同じように扱うことはできないのではないかと思います。
事後法の禁止があるため、後者はそもそも違法ではない気がします。
そして、それによって良くなったことなど1つもない酷い事件でしたね。
こういう形でマスコミが社会の害悪になっていることも気づかないとは、本当に日本の左翼は、単に頭が悪いという言葉では言い表せない感じです。
こういった左翼の人に、親切にメディアリテラシーを上げなさい、と言葉をかけてあげても、何の根拠もなく「操られているのはおまえらだ！」とか喚き立てるんですよね。
とにかく彼らには「思いこみでなく、まず事実から考えを構築しなさい」と、まず小学生レベルの話を理解させないとダメなようです。
どうやらそれも彼らにとっては難しすぎるようですが・・・
こういう下らない人間に関わるのもそろそろ疲れてきましたが、まだまだこのレベルの頭の悪い人が、マスゴミはおろか、国政レベルの政治家にも多いから困ったものです。
建築物の場合は、並んで建っている古い建物が倒壊したら、隣の建物だけ丈夫でも意味がないので、本当に危ないのなら取り壊さなければならない。本当に古くて危険な建物については、そういう行政命令を出すことができます。それをやらないということは、郷原氏もいうように、1981年の建築基準法改正がoverspecだった疑いが強い。それが結果的には「最低水準」としての耐震基準の意味を混乱させ、手抜きを生んだ可能性もあります。
法改正も、猶予期間を2､3年取ればよかっただけのように思います。拙速・場当たりの典型ですね。
opccd6さんは「既存不適格」という言葉をご存知でしょうか。
既存不適格だからと言って放置したままでよい訳ではないのは、各所で耐震補強が実施されているのを見てもわかることです。
逆に建築基準法に適合している（池田先生ご指摘のように恐らくoverspecです）からといって、どんな地震が来ても倒壊しない、とも断定できません。
私の学生時代、授業で大谷幸夫先生が「耐震基準なんて大地震が来る度に変わるんだ」と皮肉ってらっしゃいましたが（それだけ相対的なものに過ぎない）、建築基準法は（あたかも絶対的基準のように見なされて）例外的なバ○建築家のためにねじ曲げられたということです。
小倉氏のブログの数字から計算するとわかりますが、2006年8、9月の住宅着工件数を100とすると、2008年の同月はそれぞれ87.1、86.3になります。
前々年の同月比で13〜14％程度で元に戻ったとは言えない。
もしかして電卓もたたかずに、-43.3、-44が53.6、54.2になったから回復した、と即断しているわけではないでしょうねえ(^_^;)。
今手元にすぐに見られるデータがないので即断できないけれど、恐らく2006年同月比でマイナス十数％というという状態が継続しているのだと推測されます。これが官製不況の実態でしょう。2008年10月以降はこれに「100年に１度の大不況」が追い打ちをかけるということでしょうか。
＞震度5で倒壊する（可能性がある）築25年以上の建築物としての価値しかない
基準法を守っていれば建物は倒壊しない、と形式的に考えて思考停止になると、次のような図式になる。
81年基準未満 81年以上07年未満 07年以上
81年法 倒壊 倒壊せず 倒壊せず
07年法 倒壊 倒壊 倒壊せず
そうすると81年以降07年以前に建築された建物は、それ事態は何も変わっていないのに「違法状態(既存不適格)」となってしまう。
実際にはこんな単純な区分になるはずもなく、上記マトリックスのどのカテゴリーの建物も、倒壊するかしないかは実際に地震が来てみないとわからない。
姉歯の行為を正当化するつもりは全くないけれど、皆形式的なことで冷静さを失ってヒステリックに騒ぎすぎ。
＞法改正も、猶予期間を2､3年取ればよかっただけのように思います。拙速・場当たりの典型ですね。
拙速・場当たりはそのとおりだけれど、猶予を２、３年とればよかったなんて代物ではない。建築設計やっている知り合いの方がいたら、尋ねてみるとわかります。
＞みんな取り壊さなければならない。
これは一部のメディアで報道されたはずです。
下町にはいまにも倒壊しそうな古い民家がたくさん残っています。
僕は下町のマンションに住んでいるんですが、姉歯問題が報道されたとき、
「うちのマンションは大丈夫なのか」という話が出ました。
管理会社から「当マンションの設計に姉歯は関与していない」という
回答が文書で出ました。でも誰が設計したかは関係なく、
根本は「震度いくつまで耐えられるの？」という話です。
これも「震度６〜７」という回答でした。管理組合で設計書を
調べようかという話も出たのですが、結局、管理会社のいうことを
信じることにしました。だって設計値以上の地震が起きれば倒壊するでしょう。
最近、小中学校などの震災対策（補強）の話を耳にします。
姉歯問題で取り壊された新築マンションがある一方で、
古い校舎は「補強でＯＫ」なのでしょうか。
守ることによりメリットよりもデメリットが大きい場合、あるいは施行当初はデメリットよりメリットが大きかったが、状況が変化して逆転した場合などは見直しが必要です。
しかしながら、誰のせいかは不明ですが、日本はいったん出来た法律はよほどの理由がなければ変わらないようです。
＞1981年の建築基準法改正以前の建物は、みんな取り壊さなければならない。
全部一斉に取り壊して新しくするとなると、負担が多すぎるから現実的に無理なので新規建設の場合に適用ということでしょう。古い物は徐々に取り壊されるので長期計画です。法律とは関係ないでしょうが、飛行機だって古いタイプの飛行機一杯飛んでますし、徐々にしか新型に変わりません。法律は最初から全て一斉など無理難題を求めてないです。現実との妥協の産物なんです。手続き的違法性というには無理があります。
＞オーバースペックというよりはオーバーキルという感じを受けています。地震が来たときの「政府ガード」
ああ、こちらの方が確かに実態に近いかもしれませんね。
この手の法改正や新法がけっこうありそうです
今回の建築基準法の改正は書類審査を厳格化しただけで、モラルハザードを防ぐ制度設計としてはナンセンスです。それより完成検査を厳格に行なって、耐震強度などの基準を満たしていなければ、その施工主と建築士の免許を取り消せばよい。廃業になるリスクをおかして手抜き工事を行なう業者はいない。ルールさえ十分詳細に決めれば、書類審査は廃止してもかまわない。
基準が厳しくなって、建て替え費用は増えるし、手続きに時間がかかる。
建築基準法は「問題の先送り」を促進する法律なのでしょうか。
自分で自分の首を絞めているようにしか見えません。
>>オーバースペックというよりはオーバーキルという感じを受けています。地震が来たときの「政府ガード」（政府の自己防衛エクスキューズを霞が関ではこう言ってます）
フロレスタン
>ああ、こちらの方が確かに実態に近いかもしれませんね。
この手の法改正や新法がけっこうありそうです
言いえて妙ですね。
耐震偽装問題では姉歯受刑者の個人的犯罪でしたが、マンション開発者のヒューザー、ゼネコンの木村建設、姉歯の偽装を見抜けなかった認証機関のイーホームズ、そしてマンション購入者、また建築基準法改正により官製不況に陥った建設業界等が、その渦に巻き込まれて多大な損害を受けました。
今となってはその渦中に放り込まれた人々(私たちも)は「政府(を)ガード」するための人身御供となったのですね・・・
PSE法ですね。 わかります。
まさにこういうのが「思考停止」なんでしょうね。あらゆる取り決めは、メリットとデメリットの定量的比較によって成り立つという思考方法が出来ていない。こういうとまた「命の重さは量れない」とか反発しそうですが。
ところで、「完成後検査を厳格にやれば、書類審査は廃止しても構わない」という話は私も同感ですが、役所は反発するでしょうね。役人と言う人種は書類チェックが好きで、権力は行使したいが責任は取りたくないですから。
書類審査なら現物に何か問題があった時でも「書類上は問題なかったが施工が悪かった」と言い逃れできるが、完成後の現物のチェックとなるとダイレクトに役所の責任が問われます。なので、すったもんだの挙句、裏で「行政指導」して施工主の自主改修みたいなオチにならなければ良いですが。
耐震偽装問題を大疑獄事件のごとき取り扱いをしたのだ民主党で、表面だってやったのが馬渕澄夫議員である。彼は、国会にヒューザー、木村建設、イーホームズ、綜合経営研究所を引き出し、普通の要求でも異常な利益追求魂胆があるような追求をして、多くの会社を破綻させた。綜合経営研究所の内河所長に、ホテル建物の鉄筋のコストダウン要請を、あたかも不当な設計要請のごとき印象を聞く側に与える言葉を羅列して追及していたが、耐震偽装以外の微罪でも綜合経営研究所を罪に陥れることは出来なかった。他の会社も耐震偽装とは関連のない罪で裁かれているが、検察の相変わらずの人気取り告発でしかない。
このような結果になって、世間を騒がせただけで実態は偽りの告発であったのは、ガセメール事件と同じなのだが、馬淵議員は平気な顔で先だっても質問に立っている。倒産させた責任等は誰が負うべきかを告発するマスコミも、弁護士もいない。誰が正義の味方なのであろうか。
ブログも酷かった。「きっこの日記」というブログが耐震偽装のことをいろいろ報じ、馬渕議員ともコンタクトしていたそうだが、嘘偽りも多く、大疑獄事件のような報道の広まりを煽る役割は充分に果たしていた。
倒産した会社には金もないだろうから、告発も出来ないのだが、こう言う迷惑を救済する方法ぐらい、小倉さん考えてあげて下さい。さもなければ、いじめ得ですよ。
http://kk.category.jp/2007/11/post_46.html
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