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2009年2月22日

 ゲンゲの干物が紙面で紹介されていた。干物にするとは知らなかった。あれは苦手である。全身を覆うヌルヌルに、はしが止まる

ゲンゲンボウ、水魚、クニャラという小ばかにした名前でも呼ばれる。白身がうまい、と言われても、そこにたどり着くまでのヌルヌルと小骨に閉口する

小紙の連載でも取り上げられたが、北陸のゲンゲを「全国区」にしたのは、作家の村松友●(視のしめすへんが示)さんである。大好きなプロレスの魅力を、富山で出合った魚になぞらえて「幻化(げんげ)」と形容し、評判になった

よその人から、土地の魅力を教わることがある。もっとも、旅の人は社交辞令にもたけている。風情ある街のたたずまいや、自然の美しさを褒めるが、遠慮して、のみ込んでしまう言葉もある

歴史ある街並みや霊峰の眺望を損なう1つが、張り巡らされた乱雑な電線。小声で無電柱化を勧める人が何人もいただろうが、腰を上げるかどうかは地元次第である。うれしいことに、その無電柱化の取り組みが進む

やる気と工夫次第で、ヌルヌルも電線も退治できる。ふるさとの恵みは、いろんなことを教えてくれる。


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