韓国や台湾、モンゴルの患者らとのネットワーク構築をめざす「東アジアALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)患者在宅療養研究シンポジウム」が21日、北区の立命館大であり、各国の患者や支援者らが療養や制度の現状について報告や意見交換をした。
ALSは全身の筋肉が縮んで筋力が低下する難病。立岩真也教授(社会学)が中心になり、障害や老い、病気と闘う当事者の生き方を考える「生存学」研究の一環としてシンポを企画した。
日本ALS協会近畿ブロック会長で患者の和中勝三さんが「ほかの患者を訪問して励ましたり、講演活動に積極的に参加することが生きがいになっている」と報告。ヘルパーや家族の支援で自宅療養している台湾の陳銀雪さんは、インターネットや外出を楽しんでおり「目標を持つことで充実した幸せな生活を送っている。患者の尊厳を大切にし、心のケアに目を向けた介護が大事だ」と話した。
一方、韓国から参加した支援者は「質の良い介護を受けることだけが、苦しい闘病生活を続けていく上での自尊心になっている。介護は生存そのもの。患者が安心して生活できるよう専門病院の建設を目指し尽力したい」と決意を述べた。
シンポジウムは、長距離移動が困難な人向けにイベントを生中継するNPO法人「STAND」がネットでライブ中継。4000件以上のアクセスがあった。
立岩教授は「患者たちがどうすれば豊かに生きていけるのか。当事者に調査し、必要な社会システムを提言したい」と話している。【谷田朋美】
毎日新聞 2009年2月22日 地方版